無印編
第十九話 裏 (アリサ、アルフ、クロノ、なのは)
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ない手ではある」
「そうだね」
クロノとエイミィは同じ思いだった。
彼女は、いくら強いといっても齢十の子どもなのだ。しかも、この世界では、十歳はまだ初等教育を受けている最中というではないか。それを言えば、ユーノも十歳であるが、彼は文字通り世界が違う。世界が違えば文化もしきたりも異なる。ユーノの世界では、十歳でも戦力になれば大人なのだ。だが、この世界は違う。管理世界やユーノの世界とは異なり、十歳はまだまだ子どもなのだ。だからこそ、クロノとエイミィはこれ以上、関わってほしくなかった。
―――それに、少し気になることもあるしね。
言葉には出さないもののクロノにも気になることがあった。
杖をあわせたものだけが分かる感覚とでも言おうか、彼女と杖を交わしたときに感じた魔力に込められた強い感情。敵意とも恐怖とも不安とも取れるその感情。敵意は分かる。彼女がクロノを自分よりも弱いといった以上、何かしらの理由から自分に敵意を抱いていたのだろう。子どもといえば、おもちゃを取られただけで怒るのだから、魔法を取り上げられそうになって怒った、といえば説明がつくかもしれない。だが、恐怖とは? クロノに理由が分からない以上、答えの出しようもなかった。
もしかしたら、彼女は魔法が使えなくなることで何か失うものがあるのかもしれない。
もしかしたら、魔法に関わらなければ、そんな恐怖を、不安を感じなくてもよかったのかもしれない。
もしも、魔法に関わってしまったことで何かしらの影響を受けてしまったというのならば、管理世界の治安を守る執務官として申し訳なく思うのと同時に彼女が魔法を失っても幸せを得られることを願うしかなかった。
◇ ◇ ◇
高町なのはが目を覚ましたのは夜も遅い時間帯だった。
―――あれ? 私………どうしたんだっけ?
彼女が目を覚まして最初に目に入れたのは、見慣れた自分の部屋の天井だった。まだ意識がしっかりと覚醒していないなのはは、どこかだるい身体に少し力を入れて、意識が覚醒しないながらも上半身を起こす。彼女の身を包む衣服が制服からパジャマに替わっているのだが、そのことにまだ意識がはっきりしないなのはは、気づくことはなかった。
上半身を起こしたなのはは、ここが自分の部屋であることを確認すると、未だはっきりしない意識の中で状況を整理し始めた。
―――ショウくんとジュエルシードを探して、ジュエルシードが暴走して、封印して………あれ? どうなったんだっけ?
そこから先がはっきりしない。まるで、そこから先を思い出すことを拒否するかのように。その先を思い出そうとするとガタガタと身体が震える。だが、一度辿り始めた記憶の線はいくら拒否してもその先を思い出さ
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