無印編
第十九話 裏 (アリサ、アルフ、クロノ、なのは)
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。だが、それはすずかであり、アリサではない。アリサはアリサだけの恋を未だに見つけていない。
ああ、なるほど。それでは、見つからないわけだ。分からないわけだ。なぜなら、アリサは今まで自分の外に答えを求めてきた。だが、違った。答えは、アリサの中にしかないのだから。
「……先生、ありがとう。少しだけ分かったような気がする」
「いやいや、私は先生だからな。生徒の疑問に答えるのは当然のことだ」
いつもは頼りないように見える先生の緩い笑みが、そのときはとても頼りがいのあるように見えた。
◇ ◇ ◇
「お兄ちゃん、動いちゃダメ」
「わかったよ」
うんざりするような口調でソファーに座りなおす翔太を見てアルフはこっそり隠れて笑った。正面から笑うのはさすがに悪いと思ったからだ。
翔太がジュエルシードの捜索から帰って来て、晩御飯を食べた後から、翔太はアリシア―――フェイトのお絵かきにつき合わされていた。どうやら、昨日の休日に買ってもらった色鉛筆と画用紙が気に入ったようで、午前中もずっと画用紙に絵を描いていた。
その時気になったのはフェイトが右手ではなく左手で色鉛筆を握っていることであり、しかも、普通であれば右利きの人間が左手で書くのは難しいはずなのに書いた記憶があるように多少ぎこちないながらもきちんと書けていたことである。
もう一つ気になったのは、昼間、フェイトが画用紙に書いていたのはフェイトと翔太の母親である。ロングの黒髪と柔らかい笑み。フェイトもその隣で笑っている。当然、絵描きのように上手ではないが、要所は押さえた子どもらしい絵である。そして、フェイトと翔太の母親だけではなく、その傍にちょこんと存在する猫のような動物がいた。フェイトにその動物のことを聞いてみたが、フェイトは、あれ? といった様子で首をかしげていた。フェイトが無意識のうちに書いたものである。
アルフにはその姿に見覚えがあった。
―――リニス。
灰色の毛を持つ猫のような動物。かつてのフェイトの教育係にして、思い出したくもないあのクソ婆の使い魔である。
だが、フェイトとしての記憶をなくしているフェイトがどうして彼女を知っているのだろうか。いや、それを言うなら、なぜフェイトは、彼女の人間体ではなく、本来の姿を書いているのだろうか。フェイトの教育係としていたときは人間体の格好が多かったというのに。
「できた」
食後の翔太の犠牲もあったのだろう。どうやらフェイトの絵は完成したらしい。後ろから覗き込んでみるとフェイトとアルフ、翔太の母親、翔太の父親、翔太が画用紙一杯におしくら饅頭をするようにぎちぎちに書かれていた。
「へ〜、僕にも見せてよ」
そういいながら、モデル
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