無印編
第十九話 裏 (アリサ、アルフ、クロノ、なのは)
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せることになってしまった。
―――時空管理局の人が来て、アースラとか言う船にいって、そして、そして、私は、わたしは、わたしは……あ、あの黒い人に……
その先を考えることができなかった。それを考えてしまうと、なのはの意思が壊れてしまいそうだったから。その結果はなのはの禁忌に触れるものだったから。だが、なのはは思い出してしまったのだ。ゆえにそれから目を背けることはできても頭の中にこびりついてしまう。いくら現実を否定しても、目の前にぶら下がる現実は変わらない。
つまり―――高町なのはがクロノ・ハラオウンに負けたという現実は。
負けたという現実は認めたくない。認められない。だが、それはなのはが目を背けようが逃げようのない現実だった。
「あ、あ、あ、あぁぁぁぁぁぁぁっ」
魔法で誰かに負けてしまったという現実は、なのはをパニックに導いてしまう。口から出る音はなのはの心の悲鳴だった。
パニックと恐怖に支配されたなのはは、ベットの上で膝を抱えて体操座りのような体勢で、身を守るように体を小さくしていた。だが、心の内から湧き出してくる恐怖のせいだろうか、なのはの肩はガタガタ震えているし、カチカチと口も震えて歯が鳴っていた。
―――負けた、負けた、負けた、負けた、まけた、まけたまけたまけたまけた。まけてしまった。
なのはの中で思考がループする。
魔法で誰かに負けること。それはなのはにとっての禁忌だったのだ。だからこそ、今では3万を超えるシミュレーションにも耐えられたし、苦手な早起きにも耐えられたのだ。それも全部、負けないことで翔太と一緒にジュエルシードの捜索をするために。
だが、今のなのはは、クロノに負けてしまった。あの時空管理局の執務官を名乗る青年に。
彼と対峙したとき、なのはは勝てると思っていた。彼から感じられる魔力は明らかに自分よりも小さかったから。それにジュエルシードを集める上で戦ったことも、あの黒い少女に勝てたこともなのはにとっては自信の一部だったのだろう。
だが、それはなのはの勘違いだった。いや、魔力で判断したことが間違いだったのかもしれない。現になのはは、クロノに負けたのだから。
このままではクロノが言ったとおりになってしまう。それが、なのはにとって一番恐れることだった。
―――明後日から今までのことは忘れて元の生活に戻ってください。
今までのことを忘れて、元の生活に戻る。それは、なのはにとっては、魔法に出会う前の生活に戻るということだ。
あの暗く沈んだ闇の中にあるような生活に。なんの楽しみもなく、喜びもなく、光もない。あの生きた屍のような日々に戻るということである。
それは、翔太との生活の中で、褒められる喜びと認められる嬉しさを知ってし
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