無印編
第十九話 裏 (アリサ、アルフ、クロノ、なのは)
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可愛らしい絵が載っており、すずかや翔太が読むほど分厚いものでもなかった。
「これを読めば少しは分かるんじゃない?」
笑ってそういってくれた。こんな本を読んで本当に分かるのだろうか? と思うアリサだったが、どちらにしても、アリサには母親に頼る以外に道はなかったのだ。ここは、母親を信じてみようと早速家に買ってまず一冊を手に取った。
ゆっくりページを読み進めるアリサ。すずかや翔太ならもうちょっと早く読めるのかもしれないが、アリサには無理だった。一度、彼らがどうしてそんなに早く本が読めるのか、と尋ねてみたこともあったが、答えは、慣れの一言だった。残念ながら、アリサはすずかや翔太ほど本が大好きというわけではなかったので、慣れるほど読むことができなかった。
休日の二日を使って母親から渡された本を読破したアリサはいよいよ意味が分からなかった。
そこに書いてある物語はすべて『恋』が絡んだ物語だった。
笑える物語があった。悲しい物語があった。切ない物語があった。怖い物語があった。たくさんの形の恋があった。
だかららこそ、アリサは混乱する。たくさんの意味がありすぎて。どれが本当の恋なのか分からなくて。すずかたちの形はどれにも当てはまらないような気がして。どれにでも当てはまるような気がして。
さて、これだけ調べたのに結局何も分からずに休日を終えてしまったアリサだったが、これで諦めるような性根ではなかった。『恋』が分からなければ、一人だけ置いていかれるような気がするから。すずかに負けたような気がするから。
だから、休日開けの次の日。すずかたちの恋を理解するためにアリサは観察をするためにすずかたちを目を皿のようにして観察した。すずかが休み時間に翔太に話しかけている様子もお昼ごはんのときに翔太に手ずから食べさせているところも。
結局、丸一日、すずかと翔太の様子を観察したアリサだったが、観察しただけで分かるようなら苦労はしない。分かったことといえば、先日の休日に読んだ本の内容と似たような場面がいくつか見受けられたことだけだろうか。
その日の授業も終わり、放課後。アリサは、未だかつてないほどにイラついていた。
―――分からない、分からない、分からない。
学業レベルでいうと翔太には僅かに劣る部分があるとはいえ、アリサは十二分に秀才と呼ぶにふさわしい頭脳を持った少女だ。ゆえに今まで学校や塾レベルでも悩んだことは殆どなく、少しヒントをもらえればすぐに問題を解くことができた。
だが、今、アリサが悩んでいる問題は、答えがまったく見つからず、未だかつてない経験にアリサはいい加減にイライラしていた。もしも、もう少しアリサが気楽な性格であれば、あるいは翔太たちが大切な親友でなければ、アリサがここまで悩むことも
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