無印編
第十九話
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の雰囲気も異様だったが、ここの雰囲気は異質だった。あまりに他の場所とは雰囲気が違いすぎる。もしも、これが僕たちを出迎えるために用意してくれたとなれば、恐縮するしかないのだが。
「その通りです。この部屋は私の趣味なの」
僕の問いの答えは部屋の中にいた唯一の人物から返ってきた。
「ようこそ、アースラへ。艦長のリンディ・ハラオウンです」
ライトグリーンの髪をポニーテイルにし、時空管理局の制服のようなものに身を包んだ女性は僕たちを出迎えるように微笑むのだった。
◇ ◇ ◇
「そう、大変だったわね」
まるで、その苦労をいたわるように重々しい雰囲気で呟くリンディさん。
部屋の中に用意された畳と座布団の上に座った僕たちは、各々の自己紹介の後、これまでの事情を彼らに話した。ユーノくんがジュエルシードの暴走体に襲われ、僕たちに助けを求めたところから、今日の人面樹の戦闘までだ。語り手は主にユーノくんだ。そもそも始まりはユーノくんで時空管理局を呼んだのはユーノくんなのだから、下手に僕たちが出しゃばるよりもいいと思ったからだ。
彼らは何の疑問も挟まず黙々とユーノくんの話を聞いていた。そして、聞き終わっての感想は、先ほどのようなものだ。そこにはとりあえずの相槌ではなく、確かな同情のようなものが読み取れた。ユーノくんの話ではジュエルシード等を保管するのが彼らの仕事らしいから似たような仕事もしたことがあるのかもしれない。
さて、話はひと段落だが、ここで一つ僕は聞いておかなければならないことがある。
「少しいいですか?」
「はい、どうぞ」
「アリシアちゃんの件はどうなるんでしょうか?」
そういえば、僕はアリシアちゃんの件の処遇を聞いていなかった。彼らが警察のような役割を担っているというのなら、アリシアちゃんには何か処罰が下るのだろうか。そもそも、ユーノくんによると管理世界の人間が管理外世界に勝手に来るのは違法らしいし。
だが、僕の問いにリンディさんは難しい顔をした。
「そうね、少し事情を聞いてみないと分からないけど……お咎めなしね。彼女に罪があるとすれば、管理外世界の違法渡航だけど、軽く事情を聞く限りでは親に無理矢理という形でしょうし、ジュエルシードを狙っているプレシア・テスタロッサの情報がもらえれば、司法取引で無罪になるでしょうね」
「それじゃ、このままこの世界に住むことは……?」
「手続きをすれば可能だわ。ただ、この事件の参考人として少し管理世界に来てもらう必要があるかもしれないけど」
ああ、そのとき、症状について調べてみるのもいいかもしれないわね、と付け加えた。
それを聞いて僕は安堵した。彼女と暮らしたのはたった三日程度だ
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