無印編
第十九話
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「さあ、艦長が待っていますので案内します」
僕たちを先導するようにクロノさんは歩き出した。だが、少し歩き出したところで何かを思い出したように振り返る。
「ああ、そうだ。そこの君、元の姿に戻ってもいいんじゃないか?」
「そうですね。ずっとこの姿だったから忘れそうでしたけど、ここなら……」
そういうとユーノくんは僕の肩から飛び降り、いつも結界やチェーンバインドを使うときの魔方陣を自分の足元に展開させ、彼の身体が光り、その光りが収まる頃には、フェレットだったユーノくんの姿はなく、代わりに僕と同じぐらいのハニーブロンドの髪を持ち、どこかの民族衣装のような衣服に包まれた少年が立っていた。
「……え? ユーノくん変身できたんだ」
「そんなわけないだろうっ! こっちが元の姿っ!!」
ああ、なるほど、といわれて初めて納得した。僕は彼がフェレットの一族と思っていたが、どうやらそれは間違いで人間の形態から魔法でフェレットの姿に変身していたらしい。確かにフェレット姿で発掘なんておかしな発想だ。よくよく考えれば、アルフさんだって人間状態から狼に変身するんだからおかしい話ではない。もっとも、彼女の場合は、狼が本来の姿らしいが。
「フェレット姿も可愛いけど、こっちも中々美少年じゃない」
まるでからかうような忍さんの言葉にユーノくんは顔を真っ赤にしていた。その反応がさらに忍さんを喜ばせるとは思わずに。
「あ〜、照れてる。初心ね〜」
ユーノくんが忍さんの言葉に真っ赤になって俯いたのをまるで獲物を見つけた肉食獣のように目を光らせた忍さんはさらに追撃を仕掛ける。それにさらにこれ以上、赤くならないんじゃないかというほどに真っ赤になるユーノくん。このままずっとからかわれるのかな? と思ったのだが、クロノさんのこほん、というわざとらしい咳でみんなの注目がクロノさんに移った。
「すいません。あなた方の間で何かしら行き違いがあったようですが、艦長が待っているので先に案内してもいいですか?」
クロノさんの言葉に正気に戻った僕たちは、これまでの行いを反省し―――特に忍さんが恭也さんに怒られていた―――今度こそクロノさんの案内に従って時空航行艦アースラの中を歩いていく。五分ほど案内されてたどり着いたのは、案内される途中、いくつも並んでいた普通の扉の一つだった。
「さあ、奥に艦長がいます」
そういって開かれた先の光景は、これまでから想像したような背後に大きなスクリーンが並び、大きな机に肘を突いた中年の男性が座っているような光景ではなく、なぜか日本特有の獅子嚇しの音が響き、お茶会でも開けそうな和の雰囲気だった。しかも、ご丁寧に桜吹雪まで舞っている。
「……ここって船の中ですよね?」
今まで
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