無印編
第十九話
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た。
考えてみれば、そろそろユーノくんがジュエルシードを見つけて一ヶ月近く経とうとしている。最初の予想が三週間程度ということだったから、時期的には間違いなくあっているだろう。だから、僕は、ああ、ようやく来てくれた、という思いで一杯だった。
だが、僕の感情とは裏腹に忍さんや恭也さんたちは気を抜いていなかった。むしろ、鋭くなっているといっても過言ではない。一体、どうしたのだろうか?
「あなたが時空管理局の人?」
「はい」
この通り、といわんばかりにクロノ・ハラオウンと名乗った彼は、手の平を向けると名刺のようなものを何もない空間に映し出した。その名刺には、時空管理局執務管、クロノ・ハラオウンと書かれており、その技術は、彼が魔法世界の出身者であることを明確に示していた。
「ユーノくん、彼は本物なの?」
その問いで、どうしてまだ忍さんたちが緊張を解いていないか分かった。忍さんたちは、アリシアちゃんのように僕たちと時空管理局以外の第三者が語っていないか疑っているのだ。確かにアリシアちゃんの例から鑑みてもその確認は、必要なのかもしれない。
「少し確認してみますね。すいません、僕が通報した方の名前を教えていただけますか?」
ユーノくんの問いにクロノさんは、少しだけ目を瞑ったかと思うと、すぐにまた目を開いて、一人の名前を口にした。目を閉じたのは、おそらく念話のためだろう。ということは、彼は一人ではないのだろうか? 時空管理局が警察のような役割をしているなら、確かに一人とは到底考えられない。
「ええ、間違いありません。彼は時空管理局の執務管だと思います」
どうやら、クロノさんが答えた名前は間違いないらしい。それでようやく彼が本当に時空管理局の人間だと分かったのか、忍さんたちも緊張を解いたようだった。
「さて、分かってもらったようなので、案内しましょう。僕たちが使う次元航行艦アースラへ」
◇ ◇ ◇
―――圧巻。
彼が言う時限航行艦アースラとやらに転移魔法で案内された先の光景を表すにはその一言だけで十分だった。僕たちの文化とは異なる雰囲気。周りの雰囲気は艦というだけあって室内というよりもどこか船のような感じではあったものの地球にある船独特な揺れやエンジン音はなく、停泊している船に乗っているという感じが近いだろうか。いや、船とあらかじめ説明されていなければ、どこかの建物と思い違いしてもおかしくないほど、次元航行艦アースラとやらは異様で圧巻だった。
もしも、僕が普通の子どものような感性を持っていたとしたら、秘密基地のような雰囲気に喜んだかもしれないが、生憎ながら精神年齢だけなら二十歳なだけに異様な雰囲気と圧倒的な感覚で、ぽかんと呆けるしかなかった。
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