§13 東西奔走イタリア紀行
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間ver.の完成と相成ったのである。ちなみに幽世の黎斗の部屋その二は今回資料として用いたラノベ、マンガ、ギャルゲーの類(全部未開封)で埋め尽くされてしまったので、他人を部屋に招くのは恐ろしい部屋に変貌している。
「今日はエルに案内を…って聞いてねぇ……」
硬直したのもほんの数秒、黎斗の話を聞くことなくエルに群がる野郎三人。少し離れたここからでもエルの顔が引きつっているのがよくわかる。出来ることなら助けてやりたいがここは彼女に頑張ってもらってその間にペルセウスを探そう。
「今日はエルに任せて僕はちょっとホテルで寝てるよ。あとで目的地に行くからさ、現地合流にしましょ」
そう言って自室に戻ろうとする黎斗の肩を朗らかな声と共に高木が叩く。
「なーに辛気臭いこと言ってんだよ。具合悪いわけじゃないんだろ? みんなで楽しむべきだ!」
それはもう爽やかな笑顔で。マンガだったら歯がキラリと輝いているような。思わず呆けた一瞬の内に黎斗は腕を反町に捕獲されていた。抜け出そうとしても抜け出せない。こやつは捕縛のプロか、プロなのか。
「脱出できない、だと……!?」
密かに驚愕する黎斗。縄抜けに始まる脱出術もそれなりのレベルで修得している自信があったのだが、それが完膚なきまでに打ち砕かれる。
「せっかく黎斗が美人な親戚連れてきてくれたんだ。まずはどっかで朝飯にしようぜ!」
そのままずるずる連行される中で思考を放棄する。鳥達の話が真実ならば護堂はアテナと一緒なのだ。あの女神様と一緒なら悪いようにはならないだろう。彼女が大丈夫と判断しているなら護堂に勝機はあるはずだ。当然のことながら智慧の女神様は黎斗などより遥かに賢い。凡人なんかが心配する必要はないか。ここは三人と一緒に行こう。
「……りょーかぃ。朝ごはん食べたら移動開始。今日はシチリアだっけ?」
「シチリアは明日だよ。今日はサルデーニャだ。明後日レジョディカラブリアに行って帰国だ。……ガイドだろ、しっかりしろよ」
「……すげー屈辱だわ。まさか名波にそんなことを言われるとは。つーかガイドは無理だと何度言えば」
思いつきだけでここまで来たような人間にしっかりしろと言われるとは世も末だ。だいたい、一日ごとにイタリアを縦横無尽に駆け抜けるこんな日程では観光なんてほとんど出来ないではないか。一日の大半は移動時間で消えてしまう。もし、観光したいのなら今回のように早起きなりなんなり、睡眠時間を削るしかない。商店街は何を考えてこんな滅茶苦茶なプランにしたのだろうか。「イタリア全土を駆け抜けろ! 夏に攻略するイタリア!!」という副題がついていたらしいが、本当に駆け抜けることになるとは。
「マス……じゃない、黎斗の負けですよ。名波君しっかり日程覚
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