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魔王の友を持つ魔王
§13 東西奔走イタリア紀行
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むしかないのだから。

「マスタぁー!!」

「高木ー、三人で悪いけどロビー先に行ってて。ちょっとトイレ」

 エルの悲鳴を外部に漏れないよう器用に遮断しつつトイレの個室に入っていく。ホテルのトイレから幽世へ転移するのは僕ぐらいだろうな、などととりとめもないことを考えながら黎斗はエルを連れて転移の術式を組み上げた。





「おまたせー」

「なんで部屋のトイレに入った黎斗が外から現れ……!?」

 ホテルの玄関から現れた黎斗を見るなり絶句する反町。名波と高木も口をポカンと開けたまま身じろぎ一つしない。黎斗の隣には、紫髪の美少女が一人。護堂の周囲の女性陣に勝るとも劣らない容姿は周囲の視線を釘付けにする。見かけは十八、九だろうか。白いながらも決して病的ではない肌と華奢だが恐ろしくスタイルのよい肢体。艶やかな長髪は腰のあたりまで伸ばされており、そよ風が吹くと流れるように髪先が舞う。薄手のノースリーブとスカートはどちらも黒で地味そうだが、不思議と彼女に似合っているように見えた。

「えっと、エルっていいます。今日はよろしくお願いしますね?」

 可憐な声音による挨拶と向日葵のような笑顔を向けてくる彼女に、そろって三人の動きが停止する。

「「「」」」

「おーい、生きてるー? ……まぁいいや。この子は僕の親戚なんだ。折角だし案内を頼もうと思って呼んでみたんだ」

(マスター!! 私もこの周囲の地理詳しいわけじゃありませんよ!!)

 念話で、エルの抗議が脳裏に響いてくる。
 幽世に撤退した黎斗は須佐之男達の協力を借りて、エルを人に化けさせることに成功した。万が一の為同じ国なら黎斗との念話を可能にしてあるので正直、単純なスペックは普段より高い。魔力消去の結界は時間物資共に足りず簡易術式しか組めなかったが大騎士クラスの相手と至近距離での接触をしなければ問題ない。悪質な不良程度なら一人でも無事に逃げ切れるだろう。半ば即興に近いものの神&神祖&神殺しが共同で術を掛けたのだから当然と言えば当然なのだが。簡素な護身用の呪符も持たせているし事件に巻き込まれても大事には至らないハズだ。
 容姿は人化の準備を二人にしてもらっている間に単身様々な店を巡り買ってきた作品のヒロイン達を元に設定。ギャルゲーを山のように買った時の周囲の視線の痛いこと痛いこと。女性の店員の汚物を見るような視線に内心涙した。エロゲーを全品買い揃えれば当然かもしれないけれど。もうこんな真似はこりぎりだ。僅か十分足らずで幽世へ大量の資料を持ち込んできた黎斗。彼の並々ならぬ熱意に当初は呆れていた須佐之男命だったが、最終的に二人で容姿について議論を重ねるまでになってしまい二人の様子を女性陣は苦笑い。コスプレにならない程度に服を含めた装飾品も参考にし、エル人
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