第5話 死に顔動画【ニカイア】(1)
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は純吾がこの事を悪用しないようにしなければならないと
「違う、ジュンゴが作ったんじゃない。これは、これから起こるかもしれない事」
しかし忍の激昂は、純吾の予想外な返答に困惑を受けて霧散する。代わりに、彼が今何を言ったのかを高速で考え始めた。
彼は自分が作ったとは言わず、代わりに“起こるかもしれない”と言った。
そこから導き出される、本当なら考えるに値しない可能性。【悪魔召喚アプリ】なんていう非常識なものを持っている彼が言う事だから頷ける可能性。
「つまり、この動画って未来の事を映すっていうの?」
「ん……。まだ、今なら止められる」
その言葉を聞いた瞬間、忍は彼の手をとって出口まで走り出した。聞きたい事や、注意しなければならない事は山積みだが、今の忍の頭には妹の安全の事しかない。
そのまま広いホールを抜け、家の外に出ようとした瞬間、後ろから声がかけられた。
「ジュンゴ!」
「何よ……今私たち急いでるの、止めないでよっ! リリムさん!?」
声の主、リリムに向かって忍は力関係など忘れて怒りをぶつけた。
しかしぶつけられたリリムはその怒りに答えず、憂いを秘めた目で忍の隣にいた純吾を見つめる。そうして、まるで何かを確認するように、はっきりとした口調で彼に問いかけた。
「もう、十分に疲れはとれたの?」
「ん…。リリムが、守ってくれてたから。もう、十分」
リリムの問いかけに答えた純吾には、もう先程までの不安な面持ちはない。
瞳を煌々と輝かせ、全身から生きようとする力が溢れかえるかのような、確固とした意思を持って行動をしようとする一人の人間としての姿が、そこにはあった。
「そっか。私が守ったから、か……」
えへへ、とはにかむようにリリムは少しだけ笑った。
その後すぐに笑いを収めると忍の方へ向き「ごめんなさい、どうしても確認したくて」と頭を下げた。
そうして頭をあげ、呆気にとられる忍に向かって「お詫びにといったらだけど」と、自信に満ち溢れた声で提案をするのだった。
「見せてあげるわ。私たち、悪魔流のお姫様救出作戦ってやつをねっ♪」
???どうして、こうなってしまったのだろう。
後ろ手に縛られた両手の痛みに耐えつつ、すずかはぼんやりと考える。
学校が終わり、友達であるアリサ=バニングスと一緒に校門を出て他愛もない話をしていたら、いきなり強い力でハンカチのようなものを口にあてがわれた。横でアリサが男に自分と同じような事をされているのが垣間見え、どうにかしないと! と思ったのもつかの間、体が言う事を聞かなくなり、気が付いたらこの状況だった。
周りはうす暗く、あたりを見渡すとコンテナのようなものが整頓されうず高く積まれているの
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