第4話 代償
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「君が確認した通り、君が体験してきたっていう事はここでは起こっていないの」
「…………」
「話す機会がなかったけど、君、すごい方法でここに現れたらしいのよ」
「……どういう、こと?」
「あっ、それなら私が」
忍の後ろにいた少女が前に出てくる。
「えっと、ジュンゴ君を見つけたのが近くの森だったんだけど。それより少し前、ジュンゴ君が倒れていた場所に、青い焔が空から降りてくるのが見えたの」
「……それ、本当?」
「信じられないかもしれないけど、本当に見たの」
青い焔、それは自分も見覚えがあった。あの暗い世界で、自分がそれに包まれたから。あの時は、ティコと、憂うものと名乗る青年がいて……
唐突に、純吾は思い知った。どうして、自分がここにいるのかを。
『私が用意した道で君は間違いなく戸惑い、傷つき、そして他人と争う事となる』
「ねぇ、ジュンゴ君。こんな事言うのはとても荒唐無稽だとは自分でも思うんだけれども。」
目の前にいる忍と、暗い世界にいた憂うものの言葉が重なって聞こえてくる。分かっている、彼女の言おうとしていることは。
自分でも何となく理解しつつあった。
『君は恐らく今までいた所には二度と帰る事ができないだろう』
「君がここにたどり着いた方法や、君の話と私たちの話が違う事からの推論なんだけど」
だんだんと大きくなっていった違和感。その正体はなんだったか。
「君の話にでていた事が、どうしてここでは起こっていなかったか。それは???」
あぁ、だからその答えを認めたくない。認めてしまえば、仲間の行く末が、自分の生き返った意味が???
「君が、こことは違う世界からだと思うの。」
『それではジュンゴちゃん☆ 新しい世界でもぉ、ハブ・ア・ナイスた〜☆』
『天秤の守護者……。いや、純吾。その世界を、頼んだ……』
「えっ! ちょ、ちょっと!」
「いやぁぁ! ジュンゴ、ジュンゴーー!!」
あの世界で2人が言った事を正確に理解をしてしまった純吾は、自身の死の宣告を聞いた時よりも深い絶望が自分に牙をむくのを感じた。
そうしてそれに抵抗すらできず、そのまま周りの声すらも届かない、深い闇へと意識を堕としていった。
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