第4話 代償
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起こっているはずだ。
それなのに、彼女たちの落ち着き具合といったらどうだろう。
それに、悪魔の存在。
地震と共に現れた彼ら。人間にとって圧倒的な力を有する彼らの存在を無視して生活をする事ができるだろうか。できない、できるはずがない。彼らは自分たちを召喚した人間に対して、嬉々として襲いかかってくる。
これらから逃げのびるはずなどできるはずがない。
だが目の前の彼女たちの表情はどうだ。自分の話に対して訳が分からない、そんなことはありえないと言わんばかりの表情は。
「次は、ジュンゴから聞きたい。」
だから確かめる。
「ここは、どこ?」
まず、自分がいるここの事。はっきり言って、名古屋でこんなにも立派な部屋を備えた建物が残っているとは思えなかった。
確かに、公共の施設など、頑丈な建物なら形が残っているものはあったが、それでも所々ひび割れたり備品が破損していたりなど、崩壊の傷跡はどこかしこにあった。
けど、この部屋には傷一つなく、調度品も壊れているということはない。運よく、世界の崩壊を免れる事の出来た場所なのだろうか?
「ここは海鳴市。○○県にある、海と山の間にある街よ。都会ってわけじゃないけど、自然がいっぱいあるとてもいい所よ」
そんな街は知らない。それに、『とってもいい所』? どこもかしこも大地震で崩壊をし、自然を楽しむ余裕なんてないはずなのに、なんという言い草だろうか!
「…悪魔って、本当に知らない?」
「えぇ。そこにいるリリムさんが初めてだけど……」
悪魔に浸食されていない地域、そんなものが自分のいた日本にあるというのだろうか?
「……3日前に、名古屋でもの凄い大きな地震があった。シノブ、知ってる?」
「いいえ。ニュースは毎日見てるけど、そんな事聞いたこともないわ」
その言葉に頬を思い切り殴り飛ばされたかのような衝撃を受ける。
この質問は、何より大事な、フミやアイリ達など仲間の息災への手がかりだからだ。知らない場所に来るのはいい、悪魔がいない地域があるのなら幸いだ。
だが、地震もなかったというのはどういう事なのだろうか。これは自分の実体験のはずだ、それすらないと言う事があるのだろうか?
……いいや、そんなことは絶対にあり得ない。有り得ない、有ってはいけない!!
「じゃあ、…………じゃあ!!」
じわじわと、質問をするたびに這い上がってくる冷たいものを振り払うかのように叫んだ。早く、早く何か言わなければ。この不安を吹き飛ばしてくれる、そんな疑問を見つけなければ!
「…ねぇ、ジュンゴ君。」
しかし、忍の言葉にビクリ、と体が固まり、声がでなくなる。忍と呼ばれた女性が、純吾の方へ鋭い視線を投げかけてくる。
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