一話目
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しかし……こんなに人を見たのは久しい。いや、兵士は見ていたのだがな。
街並みを味わっていると城が近付いてくる。そろそろ入城か。俺はどうすればいいのだろう。尋問でもされるのだろうか?
アメリアがこちらに向かってくる。
「レイン殿はこのまま王に謁見して頂く」
王との対談か。こんな格好でいいのだろうか。ポケットの多いゆったりとした黒革のズボン、それとシャツの上に黒革のジャケットだ。
「この格好で問題ないか?」
不安だ。この服しか残っていないから変えがない。さらにこの国の通貨も持っていない。
「大丈夫だ」
それはよかった。俺はアメリアについて王の元へと向かった。上手くこの世界の情勢などをしりたいものだ。
※ ※ ※
城の中は装飾華美としていて国の権力の強さを物語っていた。そんな中一際輝いていたのが今俺がいる謁見の間だった。周りには
俺が入りしばらくした後、近衛兵を引き連れた王が玉座へと座った。
「儂はファベリア皇国、皇帝ルーク=ファベリアだ。さて、レインと言ったかな?主は何者だ?」
最初の国の王とは全く威厳がた違うな。
「俺はなんだ?勇者として召喚されたが……召喚主達は皆殺しにしたしな。バケモノとでも言っておこう」
俺は何なんだ?いや、そうなるまでに人を否定するのが召喚と言うものか。今回は人ではなかったようだが。思わず苦笑が漏れる。
誰も言葉を発さない。ふざけたと思われたか?俺が周りを見回すと茫然とした人々の顔が目に入った。
「何か不敬を働いてしまったか?」
こちらの文化などしらないからな。
「あ、いや、すまんな。貴殿を客人として扱おう。部屋へ案内してやれ」
すると一斉に止まっていた人々が動き出す。そして、侍女と思われる三十路ほどの女が俺を部屋へと案内してくれた。
※ ※ ※
───バケモノとでも言っておこう」
そしてレインは寂しそうな笑みを浮かべた。今にも崩れそうなその表情に私は胸が締め付けられた。今まで王女として散々人の黒さを見てきた私だが、もし彼の表情が作り物だったら私は二度と人を信じられないだろう。
「────部屋に案内してやれ」
父上のその言葉で私は正常な判断が下せるようになった。彼はここのメイド長に連れて行かれた。
私は父上に素早く提案をした。
「父上、少しお話が」
「アメリアか、では部屋で話そうぞ」
私と父上は私室に向かって歩き始めた。
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