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銀河英雄伝説〜その海賊は銀河を駆け抜ける
第十二話 憂鬱な人達
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の内海賊組織を統一して海賊王になるんじゃねえかとか言ってる奴もいる、まあ冗談だろうがな。でも近くに居る俺達から見るとそうじゃねえ。親っさんはかなり苦労をしている。

「キア、来月には総会が有るな」
「ああ、場所はオーディンだ。嫌な予感がするよ」
「俺もだ」
最高幹部会議が終わったぞ、と言う声が聞こえた。幹部達が姿を現す、皆表情が厳しい。前途多難、だよな、溜息が出るぜ……。



帝国暦 489年 2月20日   オーディン 宰相府 ラインハルト・フォン・ローエングラム



目の前にオイゲン・リヒター、カール・ブラッケが居る。俺の頼みで社会経済再建計画を作ってくれた改革派と言われる男達だ。
「如何でしょう、これまで私達の計画に大きな問題は有ったでしょうか」
「いや、特にない。細かい点で問題は出るが大本が間違っていなければ修正は容易い、十分に満足している」

ブラッケの問いに答えると二人が嬉しそうに笑みを浮かべた。問題は無い、成果は出ている。この二人に頼んだのは間違いではなかった。気に入らないのは俺より先にあの男がこの二人に声をかけた事だ。
「調べてみたのだが辺境から徴収される税はあまり多くは無いのだな」
俺が問いかけると二人が顔を見合わせた。

「元々貧しい事も有りますが中央に比べれば人口が少ないのです。止むを得ない事でしょう」
「それでもここ二、三年で辺境から徴収される税は大幅に増収になっています。直接税、間接税共にです。他の地域ではこんなことは有りません」
「なるほど、そうか……」

そこまでは見ていなかった。直接税、間接税による税収が増えた、つまり収入が増え物を買う人間が増えたという事か。不安なら消費を控え貯蓄をするはずだ。辺境の住人は先行きにあまり不安を感じていない……。二人にその事を確認するとその通りだとリヒターが答えた。

「それと法人税が増収になっています。企業進出が順調に進んでいる、そう言う事でしょう」
「なるほどな」
帝国全土で貴族達が好き勝手をし平民達が喘いでいる中で、辺境だけが健全な状態で繁栄していたという事か……。帝国であって帝国でない、そんな感じだな。

「辺境からは何か言ってきているのでしょうか?」
ブラッケがこちらの表情を窺うような表情で尋ねた。向こうの事が気になるか……。
「医療と教育の面を助けて欲しいと言っている。医者と教育者の数が足りないらしい。あの男でもママならない事は有るようだな」
「……そうですか、人はどうしても利便性の良い場所に住みたがります。辺境は不利ですな」
「うむ」
本当に不利なのか疑問に思う時が有るがな。

二人が帰るとフロイライン・マリーンドルフが話しかけてきた。
「閣下は黒姫の事を如何お考えなのですか」
「何故そんな事を聞く
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