第十二話 憂鬱な人達
[4/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
イゼルローン回廊を使うために一生懸命努力している。軍に迷惑をかけないようにしている。これなら使わせてやっても良いじゃないか、俺達は連中にそう思わせなきゃならねえ」
「……」
「あの回廊を使う事で俺達は凄い利益を得ているんだ。鉱物資源もそうだが反乱軍から民生品をたくさん買い付けている。そいつが辺境の人達の暮らしを豊かにして発展させているんだ。辺境が発展しなければ俺達だって頭打ちだぜ」
「……そうだな、皆豊かになってるもんな」
「うん」
ようやく分かってきたか。
「お前らは外に居るから分からねえのかもしれねえ。でもな、こいつは親っさんがいつも言ってることなんだ。海賊としてはデカくなったけど軍と比べればゴミみたいなもんだってな。おまけに必ずしも好まれてはいねえ。生き残るためには帝国のために役立っている、そう思わせなきゃならねえってな」
「……」
「自分だけが儲かればいい、そんな考えは許されねえんだ。それをあの馬鹿、全く分かってねえ。その内副頭領あたりにシメられるぜ。お前らもトバッチリ喰いたくなかったら上の前でしゃべるんじゃねえ。忠告したぞ、知らねえ仲じゃねえからな」
「ああ、有難う、キア」
「気を付けるよ、知らなかった」
アルントとイェーリングが礼を言ってきた。ぞろぞろ三人で戻るのもなんだ、二人を先に部屋に戻らせた。世話の焼ける奴だぜ。
マテウスの馬鹿は回廊の件だけじゃねえ、ヴァンフリート4=2の件でも行きたくねえとか騒いで上から目を付けられてる、何考えてんだかさっぱり分からねえ。……反乱軍の造った基地、今は帝国軍が破壊して廃棄されてるがウチはそれを改修して使おうとしている。ヴァンフリートにも根拠地は居るからな。予定通りに行けば後一ヶ月程で使用可能になるはずだ……。
部屋に戻るとウルマンが話しかけてきた。
「注意したのか」
「ああ、知らねえ仲でもないからな」
「お前がやらなきゃ俺がやってたぜ。浮かれてる時じゃねえんだ、ルーデルもそう言ってる」
溜息が出た。組織はデカくなった、辺境は発展している、良いことづくめだ。その所為で皆が浮かれちまってマテウスみたいな馬鹿が出てきた。その事で上の方は頭を痛めてる。おそらく今日の最高幹部会議でもその事が話題になっているはずだ。多分、組織の引き締めを行うと思うんだが、どんな事をするのか……。
「金髪はどう出るかな、キア」
「一応奴は親っさんに借りが有るからな、問題は奴の部下だろう。親っさんに顔を潰されたようなもんだ」
「まあ、そうだよな。二度も武勲第一位を取られちゃ立つ瀬がねえ。おまけにイゼルローンも有る。連中にしてみれば借り家住まいのような気分かもしれん」
今度はウルマンが溜息を吐いた。組織の人間には親っさんには出来ない事は無いと思っている奴が多い。そ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ