第十二話 憂鬱な人達
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ン回廊を通らなければならないんだがこれが結構大変だった。戦闘で破壊された艦の残骸が凄いんだ、嫌になるくらいある。輸送船は荷を運ぶから余り小回りは利かない、残骸とぶつかれば当然損傷する。となれば出来るだけ回廊の中央を通り衝突は避けたい。
だが回廊は軍との共同利用だからな、こっちの我儘ばかりは言えない。という事で出来るだけ残骸を取り去って回廊を広く利用しようとしているんだ。
「結構儲かるそうじゃありませんか、皆大したもんだって言っていますよ」
俺が言うとアルントとイェーリングが“え、そうなんですか”と声を上げた。マテウスの顔が綻ぶ、単純な奴だ……。
「ああ、儲かるぜ。艦の残骸だからな、希少金属を使っている。解体屋に持って行けば結構高く売れる。あの狭い回廊にゴロゴロお宝が落っこっている、そんな感じだな。笑いが止まらねえぜ」
そう言ってどのくらい儲かるかを話し出した。二十分近く話した後“お前らもしっかり稼げよ”と言って笑いながら去って行った。
「凄いな、そんな儲かるなんて知らなかった」
「ああ、マテウスさん頑張ってるんだ」
「……アルント、イェーリング、ちょっと外に出よう。ウルマン、俺達はちょっと外に居る、気分転換だ」
ウルマンは何も言わずに頷いた。アルントとイェーリングは不思議そうな顔をしたが大人しく付いてきた。空いている小部屋を見つけ中に入る。
「なんだよ、キア」
アルントが話しかけてきた。
「マテウスさんがイゼルローンで頑張ってるとか上の前で口にするんじゃねえぞ」
俺の言葉に二人が顔を見合わせた。“拙いのか”とイェーリングが小声で話しかけてくる。
「最初はな、嫌がったんだよ。軍が散らかした後始末をどうして自分達がやるのかってな。ブウブウ文句を言ったぜ。親っさんに怒られても不満面しやがった。態度が変わったのは最近になって儲かる事が分かってからさ」
「……でも、儲かれば嬉しいだろう」
「そういう問題じゃねえんだよ、イェーリング。あの仕事はなあ、儲けなんか関係ないんだ」
「……」
「俺達はな、イゼルローン回廊を使わせてもらっている立場なんだ。そんな俺達がだ、デカい顔して道のド真ん中通っていたら軍は面白くねえだろう、違うか」
俺の言葉に二人は渋々頷いた。まだ分かってねえな。
「しかし、ローエングラム公から使用権は得たのだろう?」
「だからなんだ、アルント。そんなもんは金髪がその気になりゃいつでも取り消せるんだぜ。回廊でちょっとした事故でも起こしてみろ、黒姫には使わせねえ、そう言いださない保証が有るか? そうならねえように俺達は努力しなくちゃならねえんだ」
「……」
「不満そうな面するんじゃねえよ。俺達は弱い立場なんだ。軍を相手に喧嘩出来るか?」
二人が力なく首を横に振った。
「黒姫一家は
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