第十二話 憂鬱な人達
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。おかげで俺の周りには似た様なジャケットを着ている連中が男女関係なく一杯居る。ちょっとした流行だぜ。
今回の内乱で一番吃驚したのはヴァンフリート星系を貰っちまったことだな。金が払えねえから領土でって良いのかよって思ったね。おまけに採掘した鉱物資源の半分は自分が買うとか明らかにこっちを利用してるよな。でもな、おかげで向こうと交易が出来る。
向こうから色々と持ってきてこっちで売るんだけど皆喜んで買ってくれる。工作機械とか土木機械とかな。俺の周りでも結構向こうの品が多くなってきた、電気ポットとかオーブントースターとか帝国製よりずっといいからな。最近じゃ辺境の外にも売っている。辺境での評判を聞いているんだろう。飛ぶように売れているよ。全てが上手く行っている。このまま行って欲しいもんだが……。
「キア、何をにやけてるんだ」
「そうそう、さっきから顔が緩みっぱなしだな」
「そんなことは無いさ」
テオドール・アルントとルドルフ・イェーリングか、煩い奴だな。上のお供で帰ってきたのか……。
「そうかな、俺にもにやけているように見えたがな。アンネの事でも考えていたか」
何処の馬鹿だ、この野郎。ゲッ、フランツ・マテウス、この野郎イゼルローン回廊から帰ってきてたのかよ。にやけているのはお前だろう。
アルントとイェーリングなら無視できるがマテウスは拙いな、一応俺の兄貴分だし根性も悪いからな。おまけにこの野郎、アンネにちょっかい出して邪険に扱われているらしいから扱いを間違えると後々ネチネチきそうだ。ここは素直に行くか。
「そうじゃ有りません。この事務所も手狭に感じるようになった。組織も大きくなったんだなあと思ったんです」
「確かにデカくなったよな。でもお前がデカくしたわけじゃないぜ」
「そりゃそうですよ」
何考えてるんだ、この馬鹿。そんなの当たり前だろうが。ついでに言えばお前がデカくしたわけでもねえだろう。そんな詰まらねえ嫌味しか言えねえからアンネに嫌われるんだ。彼女はお前より俺の方が好きだってよ。彼女、俺のプレゼントした下着を着けて俺とデートしてくれたぜ。
「マテウスさん、イゼルローン回廊の清掃はもう終わったんですか。なかなか大変だと聞いたんですが」
「いや、まだだ。デカいのだけで七回、細かいのも入れれば戦闘は何十回、いや百回を超えてるかもしれないからな。簡単にゴミは無くならねえ、片付けるのは結構大変だぜ」
だったら早くゴミ拾いに行けよ。そう思ったが“そうですか、たいへんですねえ”と言ってアルントとイェーリングに視線を向けた。奴ら素直に感心している、本心からだろうな。普段アルントはオーディン、イェーリングはフェザーンの事務所に居る。こっちの事情は詳しくは知らねえ。
辺境からヴァンフリートに行くまでにはイゼルロー
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