§12 強運と凶運
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自覚はあるが、動く気力も全くない。きっと明日にはいろんな動画サイトにこの光景がアップされているのだろう。そんなことを考えて、気分がますます下降していく黎斗だった。
「おーい、三人ともー。ホテルこっちよ。そろっとチェックインだから行くぞー」
「あいよー」
「おお!! このゲームに萌えを感じる!」
「華麗なそこのお姉さま、そこでお茶でもいかがですか?」
「……What?」
路上を歩く(露出過多な)金髪美女に男達の魔の手が伸びる。
「お前ら……」
……彼らに反省の文字はないのか。 眩暈が黎斗を襲う。襲ってきた回数は本日だけで二桁を超えた。ここまでくると胃薬が欲しい。いい加減心労で倒れそうだ。それともここは暴走する人間が三人から二人に減ったことを喜ぶ場面なのだろうか?
「いい加減話を聞けー!!」
三者三様の返事。夕方になって日が暮れても結局反町以外の二人は現れず、迷子を捜しに出かけた黎斗達は、警察のご厄介になっている高木と迷子になってグルグル回っている名波を確保することに成功する。あっちへフラフラこっちへフラフラ、そんな三人を引き連れて早数時間、もうすぐ夕食の時間帯だとみてとった黎斗はナポリの中心部へ歩き出そうとして???動きを止めた。
「……ッ!?」
「黎斗?」
心配してくれる高木に努めて普通の声を返す。大丈夫、硬い声になっていないはず。
「ん、ごめん。ちょっと忘れ物。先に行ってて? あのホテルは日本語大丈夫だから。いい? あのメッチャでかい建物だからね」
そう言って念を押してから走り出す。近くで凄まじい呪力が発生している。その原因を確認しなければ。この発生は普通ではない。まつろわぬ神がこの近くに降臨したのか、それとも魔物の類に施されていた封印が解けたのか。現状では情報が少なく的確な判断が出来そうにないため、危険性が高いということしかわからない。
幸い、時刻は夜だ。アーリマンの悪の最高神としての権能が使える時間帯となった今なら、現地へ直接転移が出来る。
「エル、一気に邪気化して転移するよ」
「帰りどうするんですか。行きは相手がご丁寧に呪力垂れ流ししてるから場所丸わかりですけど、マスターこの周辺の地理に疎いでしょ。帰り目印ないから転移できませんよ? 邪気化の転移は座標をしっかりわかってないとダメでしょう。私雪崩の現場まで飛ばされるのはもう勘弁ですよ」
邪気化したのちに転移をすることで、夜の地域なら一瞬にしてどこでも移動ができる。どこにでも行けるということは、転移先の選択肢が無数にあるということだ。試したことはないのだが夜でありさえすれば火星や月といった別の惑星にまで転移できるのではないだろうか、と黎斗は思っている。試してみたいの
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