第2章 真の貴族
第15話 ハルケギニアの魔法の意味
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「先ほどは、失礼な言葉使いをして申し訳ありませんでした」
去り際に、ジョルジュがそう告げて来た。
戦闘の緊張が緩み、俺も、そしてジョルジュの方もそれぞれの武器を仕舞い込んだ後の台詞。
成るほど。矢張りこれがコイツの基本系と言う事なのでしょうね。
そもそも、最初に挑発して来た時から、彼はそう尊大な態度では有りませんでしたから。直接、挑発されたタバサの方はどう思っているのか判らないですけど、俺の方には蟠りは残ってはいません。
まして、この模擬戦自体、双方共に無傷で終わりましたからね。
「何故、無理に挑発するようなマネを為したのです?」
元々出て来た建物の方に向かう大きな背中に、そう問いを投げ掛ける俺。もっとも、聞かずとも答えは判っている心算なのですが。
振り返って俺を見るジョルジュ。
そして、少し笑って見せた。
やれやれ。イケメンと言う存在は、何をやっても絵に成ると言う事ですか。
何と言うか、中世の城を思わせる建物を背にして微笑みを浮かべるコイツは、とある小説の主人公を思わせます。
……山の中にそびえ立つ中世の古城。凄まじい風雨に煽られた木々が不気味なざわめきを発し、
突如光る稲妻に、その中を走る馬車のシルエットが浮かぶ。
そう言う、映画なり、物語なりの重要な登場人物として描かれる貴族独特の雰囲気を纏っている青年。
「貴方の考えている通りの理由です」
先ほどまでと同様、まったく気負いなどを感じさせる事なく、そう短く答えるジョルジュ。
……って言うか、何故に、コイツに俺の考えている事が判るのか釈然としない点ではあるのですけれども、確かに、タバサを徴発する理由がコイツにはないと言う事は簡単に想像が付きます。更に、主人を馬鹿にされて怒らない使い魔はいませんね。普通ならば。
しかし、本当にコイツがタバサの御目付け役なのでしょうか。
……って言うか、そもそも、こんな能力の持ち主に御目付け役をさせて、タバサに騎士としての仕事をさせる意味が、何か有ると言うのでしょうかね。
こんなモン、ガリアに人材が有り余っている訳でないのなら、御目付け役にはもう少し、それに相応しい人物を配置して、コイツには、コイツに相応しい仕事が有ると思うのですが。
……可能性として高いのは、お目付け役と言うよりも。
そこまで考えてから、少し、視線を貴族然とした青年から、彼が出て来た尖塔に視線を移す。このまま、彼を視線の中心に置いて置くと、脱線し掛けた思考を元に戻せなくなりますから。
そう、それについては、今考えるべき内容では有りませんから。どうやら、世界は案外美しい可能性が有ると言う事が判っただけでも良いでしょう。
もっとも、逆の方向から見ると、
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