第二話 灯影 月日(リーダー)
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共に待機していた。
お願いします、と言って男子学生をストレッチャーに乗せ、運ばれるのを見送った。
「リーダーさん!」
車に戻ろうとした時だ。振り返ると、そこにはまだ女子学生がいた。
そしてペコリと頭を下げ、
「ありがとう…ございました!」
彼女はもう一度頭を下げ、彼氏を案じて、病院へと入っていった。
(ありがとう、か…)
思わず苦笑してしまった。
月日は車に乗り込むと、その言葉に見合った返礼を考え込んだ。お礼を言われたのだから『どういたしまして』やら『礼には及びません』だのあっただろう。
だが月日は心の中でこう言った。
(お大事に………で、―――
―――“すまなかった”)
病院を離れた月日達。今は一般道を法定速度を守って走行中である。
月日といえば、車に戻るなり三人掛けの座席中央に陣取り、四肢を放り出している。一種の脱力状態である。
「月日さん。ちゃんと口止めしておいた方がよかったんじゃ……」
運転手の男がそんな月日に尋ねた。もう部外者はいない。わざわざ“暗号名”を使う必要はなくなった。
「あの娘は賢い。言わなくても解ってるはずさ」
大丈ブイ! などとやっている月日。まったくこの人は、と呆れ返る運転手ともう一人の男。
見た目と中身があんなだが、それでも何故か惹き付けられてしまう。
それが灯影月日(リーダー)という男なのだ。
「わりー、ちょっと寝る。“本部”に連絡よろしく〜」
「了解」
「他の“部隊”はどうしますか?」
「報告だけしたら各自解散って言っとけ。あとはアイツがやっといてくれる」
「ヨロ〜(笑)」と言い残して月日は目を閉じた。
――――――――――――
眠りにつく度に確認している。
今日できることはやったと……。
でも、足りない。まだ何もかもが足りない。
あの日、誓った理想には程遠い。
少し早いがようやく動ける。
風紀委員や警備員と違う独立した組織。
俺が理想とする組織。
さて――――、
派手に始めるか。
理想を現実にするために。
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