§??? 番外編《短編集》
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らない。
「そういや護堂は?」
現実逃避に周りを眺め、護堂の姿が見当たらないことに気づいた黎斗はそう問いかける。
「草薙の奴、昨日電話したら先約あるからって言ってたな」
高木から返事がきた。確かに急に言われれば厳しいだろうしやむを得ないか。そう思った矢先、爆弾発言が廊下を通り過ぎるクラスメートから飛び出した。
「草薙君? さっきブランデッリさんと歩いているのを見たよ」
護堂デートとはいいご身分だな、と軽く妬んだのはどうやら黎斗だけだったらしい。試験対策がしんどすぎて怒るだけの気力が残ってないとも言う。一方、後ろの席からは悲痛な叫びが聞こえてくる。
「うぉぉぉ草薙のヤツ!! こんな時までッ……!?」
「畜生、畜生っ……」
「神はいないのか!?」
あ、ヤバい。そう思ったときにはもう遅い。悪鬼と化した三人の殺気に、流石の黎斗も後ずさる。このままだとこいつらがいつ怨念を放つ悪霊になっても不思議ではない。
「やってられるかー!!」
「俺達が学生の本分に励んでいるのにアイツはエリカさんとデートだとぉ!!」
「絶対間違ってる!!」
ここになってようやく地雷を踏んだと認識したクラスメートが縋るような目でこっちを見てくる。止めろというのだろうか。保護者ではないのだけれど。
「まぁまぁ、とりあえずおちつ……」
「れいとぉ!!」
「は、はひぃ!?」
無理でした。高木の剣幕に竦んでしまったのが敗因、そのままズルズルと、なし崩し的に参加するハメになりそうだ。
「者ども、招集をかけろ!! 第一種非常態勢!! ハーレム野郎を叩き潰す!!」
「無駄にかっこよいのね…… 理由は非常にかっこ悪いけど」
どこからか無線を取り出した名波の叫びに呼応するように、学校が震えた。まるで学校全体が護堂に嫉妬しているかのようで。
「いくぞ、同志達よ!」
その言葉と一緒に、黎斗は教室を連れ出される。向かう先は、体育館。何十人いるのかわからない。男子は全校の半分と近くが居る勢いだ。女子がちらほら混じっているのは、護堂の周囲の女子のレベルが高すぎて彼に話しかけられない子なのだろうか? 反町、高木、名波の三人が入場すると水を打ったようにざわめきが鳴り止み、モーセの如く進路が分かれていく。悠然とそこを歩いていく三人+引っ張られる黎斗。
「諸君、私は天罰が好きだ。諸君、私は、天罰が好きだ。諸君、私は、天罰が、大好きだ」
「オイちょっとまて」
黎斗の静止は当然の如く黙殺される。名波の演説を聞きながら絶望に襲われる黎斗。ここまでするのか、全員目がヤバい。みんな、明日のテストは大丈夫なの? こっちはまだ試験範囲の復習終わってないのだけれど。
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