§??? 番外編《短編集》
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斗の発言はさらりと流され、緑の粉末が大量に生成されていく。いかにも苦いオーラが漂ってくる。
「できたー! ささ、どうぞ」
「え、ちょ、まっ」
必死に避けようとするが、弱りきった今の黎斗の身体は上手く動いてくれなかった。避けようとして、恵那の方へ倒れこむ。
「うおっ」
「きゃっ」
恵那を見つめること数秒。それが黎斗の限界だった。再び風邪が活動をはじめ、黎斗の意識を奪っていく。
「……もう、しょうがないなァ」
最後に聞こえたのは、そんな声。口の中に何か入ってくるのを感じながら黎斗は眠りにつこうとして???飛び起きる。
「#”$%’$”&#……!!」
声にならない悲鳴。口の中のものを吐き出しそうになるが吐瀉物が恵那に直撃コースになってしまうので必死に我慢。目を白黒させていると恵那が天使の微笑みを浮かべている。
「どう? すっごい効くんだよ。コレ」
その言葉を最後に意識が途切れる。殺人ドリンクとはこういうものか、などということを漠然と感じながら。
あまりの味に黎斗は一週間もの間味覚障害を引き起こすのだが、それもまた些細な出来事である。
《嫉妬狂奏曲》
「質量モル濃度? 溶液100g中の物質量だっけ?」
今にも泣きそうな黎斗の声に、呆れたようにエルが答える。
「キツネの私がそんなの知るわけないじゃないですか。この時代の子供はこんなのやってんですか」
日差しが強くなりひぐらしの鳴く季節、夏がやってくる。期末テストが、やってくる。
赤点をとって追試に追われる学生生活は真っ平だ。元受験生だし大丈夫、とタカを括っていた中間試験では化学が赤点だったのである。これでも元理系なのだが・・・・・・
「今回場合の数と確率は範囲外だから放置でいいな。化学は濃度と物質量を抑えれば八割はいけるハズ」
明日は日曜なので護堂・高木・名波・反町の四人と教室で勉強会だ。未だかつて高校生活でこんなに勉強したことがあっただろうか、いやない。明日で化学を抑えてみせる。熱意に燃える黎斗の隣でエルが「ふわぁ」と欠伸をしていた。
「なぁ黎斗、この式で躓くのかお前……」
「この式もう少し割り切れるぞ……?」
「これ塩基性塩だから違うな」
「……もうヤダわかんない」
ある程度予想していたことだが現実はもっと残酷だった。三馬鹿とか呼ばれているから油断した。こいつら普通に頭いいわ、などと思っていられたのは最初の内だけ。問題を解けば解くほど、わからなくて泣けてくる、もう顔面真っ青だ。見かねた三人がつきっきりで解説してくれる辺りで推して知るべし。英語と国語だけは高得点だが、ズルをしているようなものなので自慢にもな
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