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魔王の友を持つ魔王
§??? 番外編《短編集》
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況まで追い詰められたのは久々だ。

「こんな無様な神殺しってマスターくらいじゃないですか? 変質したせいで肉体の成長は止まってるくせに睡眠やら食事やら排泄やらする必要があって更に風邪まで引くなんて。ヤマの権能、メリットよりデメリットの方が格段に大きいんじゃ?」

 エルがボロクソ言っている横で、黎斗は鼻を啜っていた。やっぱり水風呂はマズったか。恵那が風呂から上がった後数時間経過後に入った湯船は見事に水風呂。面倒くさいからとお湯を新たに入れなかった黎斗は水風呂で我慢をしたのだが、朝起きてみればこのザマだ。人間だったころはあまり身体が丈夫ではなかった黎斗だが、風邪を引いたのは実に五百年振りだろうか?

「恵那さんがおかゆ作ってってくれたんですからとっとと食べて薬飲んでください」

 最後まで黎斗の身を心配していた恵那だったが風邪をうつさないためにも普段どおり学校に行かせている。朝の忙しい時間帯におかゆまで作ってくれたのだから感謝はいくらしても足りることは無いだろう。

「おかゆあじないからいや……うめぼしすっぱいしくすりにがい……」

「何言ってんですか…… 良薬口に苦しっていうでしょ。今まつろわぬ神が襲ってきたらどうするんですか。本日急病につき休ませてもらいます、なんてマヌケな展開私は御免ですよ」

「ごどーがいるし……」

「あぁ、もう! この人はー!!」

 エルの怒号が室内に響く。このていたらくっぷりで古参の王と呼んでいいのだろうか。
 皮肉にもこれによって「カンピオーネともあろうお方が風邪なんて引くわけ無いわね」とエリカが黎斗への疑いの視線を弱めることになるのだが、それはまた別の話である。




「ん……」

「あ、れーとさん。どう? よくなった?」

 部屋が夕焼けに染まる頃、黎斗は流れる水の音で目を覚ました。一日中寝ていたおかげか、はたまたエルに無理やり飲まされた薬が効いたのか、体調はすこぶる調子が良い。冷やした手ぬぐいを頭に載せるなどして、かかりっきりで看病していたと思われるエルはすっかり夢の中だ。そっと籠の中へ入れて毛布をかける。

「うん。だいぶ良さそう。ありがと、ご迷惑おかけしました」

「油断はダメだよ? とりあえず山から色々採ってきたんだ。ちょっとまってて」

「……山?」

 激しく嫌な予感がする。山ってなんだ? 採ってきたってなんだ?
 一旦台所へ姿を消した恵那は、洗ったばかりとおぼしき数種類の雑草といくつかの妙な道具を引っさげて姿を現した。黎斗の背筋を汗が伝う。

「え、恵那さん? それはいったい……?」

「何って風邪に良く効く野草だよー? どれもこれもすごく苦いけど効き目は抜群なんだ。今磨り潰して煎じるから」

 いやけっこうです、という黎
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