無印編
第十八話 裏 後 (アルフ、プレシア、なのは)
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すことができる。アリシアの笑顔を見ることができる。
今までそれだけの願いを、妄執を、妄念を糧に生きてきた彼女は、もはやそれ以外のことを考えられなくなっていた。
だから、今まではアリシアと同じ形をしているというだけで気が咎めた失敗作の処分を行うことができた。あれが処分できたのは、彼女の許容範囲を超えたからだろう。存在することは許せても、失敗したことまでは許せなかった。
人形は主の思うがままに装うからこそ人形としての役割を果たせるのであり、言うことを達成できない人形はもはや人形ですらなく、ただのゴミだ。だから、プレシアはフェイトと呼んでいた人形を捨てることができた。アリシアと同じ形をしたものをゴミとはいえ、処分することは胸が痛むかと思っていたが、むしろ、すっきりしたという感情のほうが大きかった。
ああ、そうだ。プレシアは嫌いだったのだ。アリシアと同じ髪で、同じ声で、同じ姿で、母さんと呼ぶ失敗作が。もしかしたら、一度はそれに希望を持っただけに尚に嫌いだったのかもしれない。だが言えることは、プレシアは、ずっと、ずっとあれが大嫌いだったのだ。ただ、それを駒として使えるというただ一点のみで傍においていただけだった。
だが、駒として使えない以上、処分するのは当然であり、あの姿を見ないだけで、あの声で聞かないだけでプレシアは清々していた。そう、プレシアに必要なのは、あのような贋物ではなく、本物のアリシアだ。ただそれだけでいいのだ。
そして、それはもう手に届く範囲まできている。ジュエルシードを手に入れる。ただ、それだけだ。だが、それが難しい上に残された時間は少ない。病に蝕まれた身体のことを考えれば、この機会が最後のチャンスだろう。
寝床から起き上がったプレシアは栄養剤で朝食とも呼べない朝食を済ませ、いつもの場所で思案する。どうやってジュエルシードを手に入れるか、である。
選択肢の一つとしてプレシアが出て行くというのが考えられる。だが、即座に却下。病魔に蝕まれた身体では、いつ倒れるか分からない。そもそも、そんなことができるならば、あのような失敗作、即座に処分している。
あるいは、この時の庭園内部に数多く設置された傀儡兵を落ちたと思われる街に落とすか。単純な人海戦術だからこそ短時間で済むメリットがある。街に住んでいる人間が死ぬかもしれないが、そんなことは知ったことではない。アリシアにもう一度会うためなら幾人だって殺してやる。むしろ、彼らはアリシアが蘇るための生贄になれるのだから喜ぶべきである。
しかし、これも却下せざるを得ない。大量の傀儡兵を動かせるのは、時の庭園内部にある動力炉と直結しているからである。もし、この動力炉から切り離して使うとすれば、非常に大量の魔力が必要だ。だが、プレシアにそれだけの魔力は
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