無印編
第十八話 裏 後 (アルフ、プレシア、なのは)
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ちらを安心させるような柔らかい笑みを浮かべている。一体、何をするつもりなのか、とアルフが身構えていると少年が口を開いた。
「あの、このままじゃ、お互いに風邪ひいちゃいますから、一度僕の家に行きませんか?」
アルフが驚くような提案だった。自分たちは彼らにとって敵であるはずで、ここで倒されるならまだしも、こちらを心配した上での提案だった。自分を囲んでいる連中も中には反対していそうな人間もいたが、おおむね少年に従っていた。そして、アルフが一番度肝を抜かれたのは白い魔導師の言葉だ。
「私はショウくんの言うことに従うよ」
ショウというのが彼の名前だとして、彼女は少年に従うという。アルフの狼としての本能から言えば、弱肉強食。アルフはフェイトには決して逆らえない。ならば、目の前の一見無力そうな少年も、フェイトをボロボロにした白い魔導師を従えるほどの強さを秘めているとでも言うのだろうか。
「ねえ、お姉さん」
「……なんだい」
白い魔導師を従えるほどの少年の問いかけに答えないという選択肢はなかった。
「僕たちについてきてくれませんか? あなたが抱いてる彼女も風邪ひいちゃいますよ? 僕の家なら温かいと思いますし、このままこう着状態が続くよりもずっといいと思います」
自分の陣地に連れ込もうというのは罠だろうか。もしも、そうだとすれば、自分の身も、いや、自分のことなどどうでもいい。それよりもフェイトの身も危うい。しかし、ここで断わることもできない。だから、だから、アルフが考えた末の結論は、
「……わかったよ。私はどうなってもいい。何でも答えてやるよ。だから……だから、フェイトだけは助けてくれっ!!」
フェイトの絶対的な安全の確保だった。
それからの流れはこちらが拍子抜けしてしまうほどだった。フェイトにもアルフにも危害を加えられることはなく、ただ、尋問のように質問を繰り返されただけだ。クソ婆についての情報は隠し立てするほどのこともなかったのですべて正直に話した。しかも、もしも、地球で暮らすなら援助するとまで言ってくれた。もっとも、自分たちは管理世界の人間なので、時空管理局とやらの許可が必要らしいが。
これで、フェイトが無事なら文句なしだったのだが、世の中はそんなに上手くできていないようだった。
目が覚めたフェイトは、アルフが大好きなフェイトでありながらフェイトではなかったのだから。
―――正気に戻ってくれよ、フェイト。目を覚ましてくれよ、フェイト。また、アルフって呼んでくれよ。
そういいたかった。だが、フェイトの名前を出せば、フェイトが―――アリシアが不安定になる。まるで壊れてしまったように。だから、白い魔導師を従える少年―――翔太にもフェイトの名前は出さないように言わ
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