無印編
第十八話 裏 後 (アルフ、プレシア、なのは)
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周りにいる人間がなのはの欲しいものを次々と手に入れていくのを見て、湧き出る負の感情だった。
最初は、名前を呼ばれるだけでよかった。携帯電話でお喋りするだけでよかった。一緒にジュエルシードを探すだけでよかった。だが、人の欲望とは無限である。なのはは、もっと、もっと、もっと翔太と仲良くなりたかった。黒い敵やバケモノがやっているように一緒にお弁当を食べたり、一緒に手を繋いで帰ったり、一緒にお風呂に入ったり、一緒に寝たり、一緒に、一緒に、一緒に……。
なのはが望むようにもっと翔太と一緒になるためにはどうしたらいいだろうか。なのは考える。答えは意外と簡単に見つかった。
―――もっと、ショウくんと仲良くなればいいのかなぁ?
ならば、もっと、もっと、もっと翔太と仲良くなるためにはどうしたらいいだろうか。
魔法が強くなればいいのかな? 一緒にいる時間が長くなればいいのかな? ジュエルシードがもっと暴走すればいいのかな? あるいは―――
―――彼女たちがいなくなってしまえばいいのかな?
そう、もしも彼女たちがいなくなってしまえば、翔太が見てくれるのは自分だけだ。ああ、そうなれば、もっと、もっと仲良くなれるだろう。翔太が自分だけのものになる。
―――なのはだけの翔太。
その言葉は実に甘美なものだった。
だが、それがすぐに不可能だと気づき、愕然とする。確かにそれを可能とする力は持っている。魔法を使えば可能だろう。だが、それでも、バケモノと一緒にいることを決めたのは翔太。あの黒い敵と一緒にいると決めたのは翔太。ならば、そこになのはの意思で介入し、それらを排除することは、翔太の意思を蔑ろにしているだけである。つまり、なのはには実質、不可能だといえた。
「こんばんは」
自分の浅はかな答えに落ち込んでいたなのはの背後から声をかけられ、なのはは驚きながらも背後を振り返った。背後にはいつのまにいたのか、一人の女性が佇んでいた。黒髪を背後まで伸ばし、ローブのような服と外套を羽織った奇妙な女性だ。
そして、同時になのははその女性から感じる並々ならぬ魔力を感じて、すぐさま胸元のレイジングハートを起動させ、先端を女性に向けた。
「ああ、誤解しないでちょうだい。私は、あなたの敵じゃないわ」
信じられなかった。突然、部屋の中に入ってきた女性をどうやって信じろというのだろうか。だから、なのはは無言で女性に杖を向け続けた。
「まあ、信じないなら信じなくてもいいわ。でも、話は聞いてちょうだい」
本当にどうでもよさそうになのはの態度を断わると、女性は、唐突に話を切り出してきた。
「私は、あなたが持っているジュエルシードが欲しいの」
ジュエルシード。その単語に反応しな
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