無印編
第十八話 裏 中 (アリサ、すずか、恭也)
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アリサ・バニングスは突然の親友の行動に困惑していた。
時はお昼時、誰も彼もがお弁当箱を取り出して友人と今日はどこで食べようか、と相談している。教室で食べようとしてる者もいれば、今日は天気がいいので中庭で食べようとしている者もいる。アリサも今日は天気がいいので教室よりも屋上で食べたいと思っており、いつも一緒に食べている親友の月村すずかと一緒に屋上へ向かおうとしたのだが、彼女の姿は既に彼女の席にはなく、何所に行ったのか、と周りを見渡してみれば、アリサのもう一人の親友である蔵元翔太の下へと行っているではないか。
アリサは翔太を誘うことはやぶさかではない。だが、すずかは今まで翔太を誘うことがあったとしても自分に一言言ってから一緒に誘っていたはずだ。それが、今日はアリサよりも翔太を優先して誘っている。この三年間で一度もなかった事態に驚いていた。
「あ、アリサちゃん。今日のお弁当、ショウくんも一緒だけどいいよね?」
「え、うん。もちろんよ」
驚いている間にすずかが翔太と一緒に弁当を食べる約束を取り付けたのか、いつもの朗らかな笑みを浮かべて翔太がすずかの後ろに立っていた。その翔太は、アリサが視線を向けると弁当箱を持ち上げ、お邪魔するよ、といわんばかりに微笑んだ。
―――まあ、ショウは、他の人と食べることも多いから先に声をかけただけよね。
クラス全体の殆どの人間は、いつもお昼を食べるメンバーは決まっている。そのグループがくっついて大きくなったりすることはあるものの、基本的に崩れることはない。そんな中、翔太だけは異様だった。まるで渡り鳥のようにいくつかのグループを歩きわたる。今日はここ、今日はここ、と二日続けて同じグループで一緒に食べることはなかった。理由はよく分からない。一度、聞いてみたところ、少し考えて後に「まあ、世話好きの物好きかな」とはぐらかされてしまった。
そんなわけで、誘ってもあまり乗ってこない彼を捕まえるのは結構難しかったりするのだが、今日のすずかは成功したようだった。どちらにしても、翔太と一緒にお弁当を一緒にできることは少ないのでアリサとしても嬉しかったりする。
「それじゃ、行きましょう」
アリサはすずかと翔太と一緒に屋上に向かう。屋上までの道のりは授業のことだったり、夜のテレビの内容だったりするのだが、その中でアリサは朝から気になっていたことを聞いた。
「ねえ、そういえば、朝の話ってなんだったの?」
今朝、すずかと翔太は二人だけでどこかに向かおうとしていた。どこかに行くものだから、授業の準備であればアリサも手伝おうと申し出たのだが、「内緒のお話」といわれたのだ。誰にだって秘密はある。それが分かっているから、アリサも無理を言わなかった。だが、理解するのと気にな
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