無印編
第十八話 裏 中 (アリサ、すずか、恭也)
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たが、一日経って冷静になるとやはり自分を怯えているんじゃないか、という恐怖だ。
だが、そんなすずかをあざ笑うかのように翔太は、笑顔ですずかを許してくれた。
「ショウくんは、私が怖くないの?」
改めての質問。念を押すような最後の質問だった。昨日は扉越しだった。だが、今日は顔を合わせている。その中ですずかは確かなものが得たかった。そして、翔太は、すずかの望んだ答えをくれたのだ。
「昨日も言ったけど、大丈夫。僕はすずかちゃんを怖いなんて思ってないから」
その答えで改めて救われた気がした。今まで嫌われることが怖くて、バケモノと恐怖の瞳を向けられることが怖くて、人と距離を置いていたすずかが初めて距離を近づけてもいいと言われた気がした。
翔太の答えに安堵したすずかだったが、今度は逆になぜか翔太が慌て始めた。
「すずかちゃん? 泣いてるの?」
「え……あ」
翔太に言われてすずかは初めて自分が泣いていることに気づいた。だが、それは昨日、帰ってから流した涙とは違う。その涙を流させる感情はまったく別物。逆ベクトルのものである。だから、すずかは笑う。自分にこんなに嬉しいと思わせてくれた彼に、せめてものお礼にと思いすずかは笑った。
「えへへ、大丈夫だよ。ショウくんの言葉が嬉しかっただけだから」
きっと、自分は今までで一番の笑顔を浮かべられているとすずかは思った。
改めて許してもらったすずかは昨夜、ベットの中で感じたとおりもっと翔太と仲良くなりたかった。だから、お昼に誘い、お弁当の中身を交換した。本当なら、食べさせあいっこもしたかったが、これは翔太が恥ずかしがって拒否したためできなかった。
食べさせあいっこができなかったことは残念だったが、すずかがずっと本当の意味での友達ができたらやりたいことを半分はやれて満足だったし、翔太と一緒に過ごす時間は今まで以上に楽しかった。今日は翔太の表情一つ一つの感じ方が今までとは違った。慌てる翔太もおいしそうに食べる翔太もちょっとした雑談に笑う翔太もすべてが今まで以上に特別に思えた。
学校が無事に終了し、翔太を見送ったすずかはアリサと一緒に帰宅した。家に帰ったすずかをファリンが出迎えてくれた。姉である忍ともう一人のメイドであるノエルは珍しくいないようだったが、今日から翔太のジュエルシード捜索を手伝うと言っていたことを思い出した。
本音を言うとすずかも手伝いたかったが、あくまでも忍が着いていくのは夜の一族としての立場だ。それをすずかが担うにはまだ小さいといわれた。たとえ、すずかが月村家次期当主候補であろうとも、だ。単なる手伝いとして行ってもすずかは大人以上の力は出せるもののそれだけだ。戦い方を知っているわけではない。それを学ぶのは小学校を卒業して
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