無印編
第十八話 裏 中 (アリサ、すずか、恭也)
[4/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
変化の理由を翔太は知ってることなる。
となれば、やはり気になるのは朝の翔太とすずかの内緒の話だ。
何を話したのだろうか。気になる。気になるが、放課後のすずかの様子では教えてくれる気配はゼロといっていい。ならば、翔太なら、と思ったが、すずかが話さない以上、翔太が素直に話してくれるとも思えない。八方塞がりだった。だが、どうしても知りたかった。胸の奥に感じた小さな痛みを知るためにも。
そんな悩みを持ったまま休日前ということで早く帰宅できた母親と一緒に食事をしたのが拙かったのだろうか、眉をひそめた表情をしながらフォークで食事を運ぶアリサを心配した母親が声をかけてくる。
「アリサ、浮かない顔してどうかしたの?」
「え……」
一瞬、アリサは答えに戸惑った。一緒に食事することなんて殆どないのに、その殆どない機会に悩みを相談していいものだろうか、と思ったからだ。しかし、アリサが抱いている悩みは、もはやアリサ個人でなんとかできる範疇にはない。悩み続けてもいい答えが見つかるわけでもないし、本に答えが載っているわけでもない。だから、アリサは母親にすずかと翔太のことを話すことにした。
「あのね、ママ―――」
それからアリサは母親に翔太とすずかの話をした。朝の内緒話から二人の様子がすっかり変わってしまったこと。すずかがお弁当の時間に翔太にしたこと。休み時間にも小さな時間を見つけて翔太とお喋りをしていたこと。今日一日、アリサが疑問に思ったことをすべて母親に話した。
アリサの母親は、子どものこんな話なんて適当に聞き流すかな、と思っていたアリサだったが、意外なことに目を輝かせてアリサの話を聞いていた。
そして、すべてを聞いたアリサの母親は、わざとらしく腕を組んでう〜んと唸ったあとゆっくりともったいぶって口を開いた。
「そうね、すずかちゃんが様子が変わった理由は分かったわ。内緒の話の内容もね」
「本当っ!? ママ」
アリサには母親の言うことが信じられなかったが、いつでも自信満々なアリサの母親が嘘でこんなことを言うはずがない。だから、母親が出した答えにアリサは期待した。
「すずかちゃんは、翔太くんが『好き』なのよ。だから、内緒の話はきっと『告白』ね」
最近の小学生はませてるわね、と母親は付け加えるが、アリサには母親の言っている意味が理解できなかった。
好き、というのであれば、アリサは翔太もすずかも好きである。なにせ二人しかいない親友なのだから嫌いなわけがない。告白という意味に対しても何か重大なことを伝えるということは分かる。つまり、すずかが翔太に好きだと伝えたということなのだろう。だが、なんとなく母親の言っている意味はそうでないような気がするのだ。
「ねえ、ママ、それってどうい
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ