無印編
第十八話 裏 中 (アリサ、すずか、恭也)
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らないのは意味が異なる。だから、二人が何を話したのか気になった。もしかしたら、今なら話してくれるかもしれないと期待して。
だが、翔太とすずかの二人は困ったように顔を見合わせて、すずかだけが口を開く。
「ごめんね、アリサちゃん。これは私とショウくんだけの内緒のお話だから」
今朝と同じようにあしらわれた。親友としては話してくれないことが少し悲しかった。しかし、そこまで言われては、これ以上聞くことなどできない。だから、アリサは「そう」と呟いて退くしかなかった。
それからは、アリサの湿っぽい雰囲気を払うようにアリサから明るい話題を振る。二人もアリサの意図を察してくれたのかその話に乗ってくれた。一度話が弾めば先ほどの気まずい雰囲気はすっかりどこかへ消えてしまい、屋上につくころには三人で笑いあっていた。
屋上は同じように昼食を食べようという生徒が存在していた。これはもしかしたらベンチが空いてないかもしれない、とアリサは屋上の出入り口から見たとき思ったものだが、幸いにして一つのベンチが空いていた。たった一つだが、三人で座るには十分な広さを持っている。
アリサたちは、誰かに取られるよりも先にと思い、駆け出してベンチに座った。最初に座ったのはアリサ。この三人で食べるときは定位置であるベンチの真ん中に座る。そして、右手に翔太。左手にすずかが三人で食べるときの定位置だった。だが―――
「え?」
思わずアリサは声を挙げてしまった。すずかがアリサの目の前を横切ったからだ。
自分の右手の位置はすずかのために空けている。だが、それにも関わらず、すずかはアリサの右手に座っている翔太の右手に座ってしまった。アリサがすずかのためにあけていたスペースよりもずっと狭い翔太の隣に。しかも、狭い場所に座った弊害で、すずかと翔太の距離は殆どないと言える。くっついて座っていると言ってもいい。困惑している翔太に対して、すずかはそれに不平不満を漏らすどころか、なぜか嬉しそうに笑っていた。
「ごめん、アリサちゃん。少し向こうに行ってくれないかな?」
アリサがすずかの行動に呆然としていると申し訳なさそうに翔太が言ってくる。いつもなら、アリサがすずかにこっちに来ればいいじゃない! と怒鳴るところだったが、すずかの不可解な行動に混乱していたアリサはあっさりといつもはすずかが座っている位置に体をずらしてしまった。
「ありがとう」
そして、いつもアリサが座っている位置に翔太が。翔太が座っている位置にすずかが来る形で昼食が始まった。
いただきます、と手合わせてお弁当を口にする。アリサのお弁当は小さいが、家のコックが作ってくれたものでどのおかずもおいしいものだった。そうやって、お弁当に舌鼓を打っていると隣から想像もしない会
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