無印編
第十八話 裏 前 (アルフ、フェイト、プレシア)
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ために口に出さなかった言葉を口にした。
「ねえ、フェイト。あなたは私の娘なんかじゃないの。アリシアが蘇るまでの間、私が慰みに使うアリシアによく似たお人形。それ以外の何者でもないの」
ここまでは先ほどまで思っていたこと。だが、今はそんな風には思っていなかった。フェイトを見る目を愉快なものを見る目からまるで汚物でも見るような見下すような鋭い目をして、さらに言葉を投げつける。
「でもね、主の言うとおり踊らないお人形はいらないの。ねえ、分かってる? フェイト、あなたに言ってるのよ。私がジュエルシードを手に入れさせるために使わせた魔力も時間もすべてが無駄。あなたに母さんと呼ばれるたびに虫唾が走るのを我慢したのも無駄。我慢してあなたを娘としてあなたの名前を呼ぶのも無駄。ああ、違ったわ。あなたの名前はただのあなたを作ったプロジェクト名よ。名前ですらないわね」
少しずつ目の前で項垂れているフェイトの瞳が色をなくしていくのを見ながらプレシアは愉快そうに嗤っていた。フェイトが、最愛の娘であるアリシアの姿が同じだけの失敗作を壊すのが、勘違いしている失敗作が壊れていくのが少しずつ壊れていくのが愉快でたまらなかった。
だから、最後の最後にプレシアは今のフェイトの評価を告げた。
「いえ、お人形としてすら踊れないなら、あなたはもはやお人形以下ね。ただのゴミだわ」
そう、お人形は主が思うように踊ってこそ価値があるのだ。持ち主の思うように喋らない、踊らない人形はただのゴミである。だから、捨てるしかない。
フェイトを捨てれば、プレシアには手駒ないことを分かっていながらプレシアはフェイトを捨てることに躊躇しなかった。これ以上、彼女を使うことをプレシアは許容できなかったのだ。
天才ともいえる頭脳はフェイトを捨てることを良しとしていないのに、プレシア・テスタロッサという個人感情では、もはやこれ以上、フェイトを使うことを許容しなかったのだ。
よほどショックだったのか、フェイトはプレシアの言葉を聞くとバタッと倒れた。それを見てもプレシアは一切、動揺を見せずに言い放つ。
「ゴミが。ここは、アリシアが眠る場所よ。汚れるでしょうが」
目の前に横たわるゴミを捨てようとフェイトに浮遊魔法を掛けようとした瞬間、その闖入者は声を荒げ、拳を振り上げながら乱入してきた。
「この糞ババアァァァァァっ!!!」
ふぅ、とゴミの使い魔はやっぱりゴミね、と思いながらプレシアは瞬時にシールドを張るのだった。
◇ ◇ ◇
フェイト・テスタロッサは今、目の前に広がっている光景が信じられなかった。
時の庭園で迎えたのは、母親であるプレシアの憤慨だった。無理はない。ジュエルシードを回収してこいといわれて
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