無印編
第十八話 裏 前 (アルフ、フェイト、プレシア)
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そんな場所につれてこられて驚いているようだったが、プレシアはそれを気にすることなく、フェイトを奥に連れて行く。
そして、連れてきた場所は、プレシアにとって神聖な場所。唯一、彼女を見ることができる場所だった。
「……あ……あ……」
髪の毛を離した瞬間、フェイトはどさっ、という力を抜けたような音を立てながら床に女の子座りで座りながら、呆然とした様子で目の前にある水槽を見ていた。
フェイトが目にしている水槽の中に浮かんでいるのはプレシアにとって最愛の娘。フェイトと同じような金髪を水槽の中で泳がせながらたゆたう眠り姫。
呆然としているフェイトを余所にプレシアは、彼女が入った水槽に近づき、愛おしそうに水槽の壁面を撫でる。
「……わ、私?」
目の前に現れた自分とそっくりな人間を目の前にしてフェイトが呟く。だが、呟いたフェイトにプレシアは鬼をも殺せそうな鋭い視線をフェイトに向け、彼女をひっ、と怯えさせる。
「馬鹿なこと言わないでっ! あなたのような失敗作とアリシアを一緒にしないでっ!!」
「アリ……シア?」
フェイトがプレシアにとって最愛の娘であるアリシアと失敗作であるフェイトを同一視することが許せなかった。フェイトとアリシアではまったく違うものなのだから。
「そうよ。私の唯一の娘、アリシア。あなたのオリジナルよ」
「え……?」
まるで意味を理解してないような声でフェイトが呟く。
―――ああ、これだから失敗作は嫌いだ。
そう思いながら、次にフェイトが浮かべるであろう絶望の表情を思い描き、プレシアは嗤いながらフェイトに事実を告げた。
「まだ分からないの? あなたは私が作ったアリシアの贋物。アリシアを蘇らせようとした私が作った失敗作よ」
「にせ、もの? しっぱいさく?」
プレシアの口から聞かされた事実が大きすぎたのか、フェイトの口から出てくる言葉はもはや抑揚はなく、彼女の目はどこか焦点があっていなかった。
だが、そんなフェイトを目の前にしてもプレシアの口はとまらない。むしろ、フェイトを追い詰めるためにさらに言葉を続ける。
「そうよ。せっかく、あなたにはアリシアの記憶をあげたのに全然ダメだった。だから、失敗作」
プレシアはフェイトを見ようともせずにアリシアだけを見つめ、水槽の奥にあるアリシアの頬に当たる部分をフェイトに一度も向けたことのないような愛おしそうな表情をしながら撫でる。
「アリシアはもっと優しく笑ってくれた。アリシアは時々、我侭も言ったけれど、私のいうことをよく聞いてくれた。アリシアは私にもっと優しかった」
プレシアはここで改めて向き直り、もはや「あ、あ、あ」という音しか出さない失敗作を見ながら今まで手駒として使う
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