無印編
第十八話 裏 前 (アルフ、フェイト、プレシア)
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た。それは怒りのせいか、あるいは、彼女が病に冒された身体で急に全力で動いたためか分からない。しかし、それを気にした様子もなく肩で息をしながらも怒りの形相でプレシアはフェイトを見下していた。
フェイトが呟く言葉は耳を澄ませば聞こえてくる。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい―――」
まるで壊れたテープレコーダーのように「ごめんなさい」を繰り返すフェイト。だが、それがプレシアの癇に障る。プレシアが聞きたいのは謝罪ではないのだから。だから、プレシアは怒りに満ちた厳しい声を出しながら問う。
「どうしてなのっ!? どうして、ジュエルシードを取って来れないのっ!?」
半ばヒステリックな声にびくっ、とフェイトが体を震わせるが、それでも震える声でかろうじてプレシアの問いに答えた。
「……魔導師がいて……負けました」
「まけ……た?」
先ほどまでのヒステリックな声はどこにいったのやら。今度はプレシアが気が抜けたような声で呆然と呟くようにして声を出した。
実際、プレシアは気が抜けてしまったのだ。フェイトが口にした事実を信じられなくて。ジュエルシードが広範囲に散ってしまって見つけられなかった等の言い訳ならまだ信用できただろう。だが、にわかには信じられなかった。それを信じてしまうことは、つまりプレシアが彼女のために使う時間と命を削ってまで育てたフェイトに意味をなくしてしまうからだ。
だが、無情なことにフェイトがいった言葉を真実だと結論付けるだけの証拠が彼女の肩から覗いていた。真新しい白い包帯。怪我を負った証拠だろう。おそらく、彼女が言う魔導師につけられた傷。彼女が負けたであろう証拠。
それを結論付けてしまったとき、抜けてしまっただけの怒りに匹敵する。いや、それ以上の怒りがプレシアの底から浮かんできた。
「巫山戯たこといわないでっ!!」
ツカツカとフェイトに近づいたかと思うと、胸元を掴み上げ、無理矢理立たせると再び先ほどと同じように今度は逆の頬を叩く。プレシアの急な行動にフェイトになす術もなく衝撃で倒れこむ。そんなフェイトに向かって、いつの間に用意したのかプレシアは、鞭を片手に振り上げていた。そして、それを振り下ろす。ぴしっ! という音と共に鋭い鞭が幼い少女の柔らかい人肌に赤い筋を残す。
鞭が振るわれるたびにフェイトの痛みに耐えるような声が響く。
それを何度も、何度も繰り返しながらプレシアは無限に胸の奥から湧き上がってくる怒りをフェイトにぶつけていた。
そう、本当に巫山戯た話だ。管理外世界の惑星にいる魔導師に負けた? そもそも管理外世界に魔導師がいる可能性は殆どない。あるとすれば、犯罪者が身を隠すために潜んでいる可能性や、犯罪組織がアジトにしている可能性だが、
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