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リリカルってなんですか?
無印編
第十八話 裏 前 (アルフ、フェイト、プレシア)
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。必死に探しているのに、努力しているのに一つもジュエルシードを得ることは叶わなかった。いや、正確には何度か機会はあったのだが、ことごとく邪魔が入ってしまったのだ。

 一つ目は、ある家の庭で猫に憑依しているのを見つけ、封印までは上手くいったのだが、現地の人間に邪魔されて結局、ジュエルシードを得ることはできなかった。そのときは、フェイトは丸一日半眠り続けて、アルフはこのままフェイトが死んだら、と生きた心地がしなかった。

 二つ目は森の奥で見つけた。近くに温泉といわれる施設があり、フェイトと一緒に入浴し、ジュエルシードも見つけることができた。だが、そのジュエルシードは昨日戦った白い魔導師に奪われてしまった。

 アルフが昨日の戦闘で見た光景は身の毛がよだつ光景だった。

 白い魔導師は、バインドでフェイトを拘束しながらデバイスを誘導弾でお手玉のように上空に打ち上げ、止めとばかりに収束魔法の発射準備に入っていた。もしも、あそこでアルフが割って入らなければ、現在自己修復中のバルディッシュは粉々に砕け散っていただろう。そして、一番恐ろしかったのは、バルディッシュを守った後に見た白い魔導師の表情。彼女の表情からは敵意しかなく、その目は何物も吸い込みそうな深い闇の色を浮かべていた。
 あの白い魔導師は、バリアジャケットがそこそこ煤けていたとはいえ、フェイトを満身創痍にしてしまうような魔導師だ。おそらく、時空管理局の執務官クラスなのだろう。そんな魔導師がどうしてこんな管理外世界にいる? そんな疑問が浮かんだが、逃げること最優先でこのアジトに逃げてきたのだ。
 アルフの狼としての本能に従った結果だったが、帰って来てフェイトの怪我の具合を見ると、それは正解だったようだ。あのまま、アルフが勝負を挑んでも負けは確実。フェイトと共にやられていたのはほぼ間違いないのだから。

 アルフは、フェイトと一緒に逃げたかった。おそらく、ジュエルシードをこれからも探す以上、あの白い魔導師と戦うことになるだろう。だが、アルフとしてはもう二度とあの白い魔導師とは戦いたくなかった。フェイトを容赦なく叩き伏せた相手だ。今度も同じ、いやもしかするとそれ以上の結果になるかと思うとぞっ、とする。

 だからこそ、アルフは、この件から逃げることを進言するのだ。主であるフェイトの願いが分かっていながら。なぜなら、アルフが望むのはただただ主であるフェイトの幸せ。彼女が心の底から笑っている姿なのだから。



  ◇  ◇  ◇



 フェイト・テスタロッサは、不安と喜びの間で揺れていた。

 不安は、母親から言われたジュエルシードの回収が一つも叶えられていないこと。喜びは、久しぶりに母親と会えることだ。どちらが強いとも言えない。久しぶりに母親の声が、顔が見れること
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