無印編
第十七話 裏 (すずか、なのは、忍)
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戻り、ベットに倒れこむ。今の話が嘘だったらいいのに、と思いながら。
もし仮に、翔太が裏側に所属する人間だとしたら、それはすずかにとって喜ばしいことだ。自分のような存在も容認してくれるだろうから。
それに十に満たない幼い年ながらもすずかは、月村が治める土地で裏側の事件を把握するのは大事だということが分かっているし、翔太とアリサ以外のクラスメイトならどうぞご自由に、というだろう。
だが、翔太とアリサだけは、失いたくなかった。万が一、まったく裏側には関係なくて、あのバケモノを見る目で見つめられることが嫌だった。記憶を消されて、自分を赤の他人に見られることが嫌だった。一人になるのが嫌だった。
「どうしよう?」
すずかの明晰な頭脳は、このまま自分が拒否してもいずれ翔太との会談があることを理解していた。一族の大事と自分の我侭。天秤に乗せたとき、どちらに傾くなど考えるまでもない。すずかの友人など、夜の一族から大事の前の小事なのだから。
忍の言い分を受け入れても、拒否しても導かれる結果は変わらない。だが、翔太の立場がはっきりしない以上、万が一にでも翔太がなにも関係ない人間である可能性があるのなら、その結果は回避したかった。
だから、すずかは考える。夜の一族と蔵元翔太の会談という結果を回避する方法を。だが、経験が浅いすずかに回避する方法など簡単に見つけられるはずもなく、考え込んでいるうちにすずかは自分のベットの上で眠りに落ちてしまった。
◇ ◇ ◇
高町なのはにとって一番大切な時間は放課後の数時間だった。
なのはにとって唯一の友人である、友人と言ってくれる翔太と一緒にいられるこの時間、この時間だけがなのはの心のよりどころだ。この時間を得ることを思えば、辛い朝の訓練にも耐えられたし、いくらでも強くなろうと思える。だからこそ、この時間を邪魔する子にいい感情が浮かぶはずがない。
なのはが翔太の隣を歩きながら、下足場へ向かっている途中、職員室の方向から重そうにプリントの束を持って歩いている少女が目に入った。なのはの覚えが正しければ、昨日、ジュエルシードが発動した家に居た子だったはずだ。あの金髪の子と一緒にいたような気がする。そして、憎たらしいことに翔太の親友を自称する子だったことを思い出していた。
そんな重そうな紙の束を持って運んでいる女の子を翔太が放っておくはずがない。その少女に翔太が駆け寄り、何かを話していた。どうやら、図書委員の仕事で大量の紙の束を運んでいたらしい。
そんなのどうでもいいから、行こうよ、となのはは翔太に言いたかった。だが、なのはが翔太に対してそんな風に言えるはずがない。その女の子と話している翔太だったが、もし、その子と話すことを中断させて、翔太を不
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