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リリカルってなんですか?
無印編
第十七話
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現れた。

「蔵元様、恭也様、なのは様、こんばんは」

「ノエル、一体どうしたんだ?」

 立ちはだかるようにして現れたのは、現代では特殊な喫茶店以外ではお目にかかることはないだろうエプロンドレスに身を包んだ月村家のメイドであるノエルさんだった。僕としては、月村家にはすずかちゃんの用事で行くことが多いのでファリンさんのほうが親しいのだが、ノエルさんを知らないわけではない。

「蔵元様、ご同行願いますか?」

 それは、丁寧な言い方でありながら、有無を言わせない威圧感が感じられた。もっとも、近いうちに接触があることは恭也さんの背中にいながら考えていたことなので、あまり驚くことはなかったが。

「分かりました」

 きっとこれは避けて通れない。ここで拒否したところで、きっと無理矢理にでも連れて行く。いや、恭也さんがいるからそれは無理にしても帰宅した後にでも彼女たちが直接乗り込んでくる可能性は否定できない。なにせ、彼女たちの絶対に漏れてはいけない秘密が一人の小学生とはいえ漏れてしまったのだから。

「ちょっと待ってくれ。ショウくんは気分が悪いんだ。明日じゃダメなのか?」

 恭也さんの背中から降りようとしていたとき、恭也さんが僕の体調を慮ってくれたのかノエルさんに対して一言言ってくれるが、ノエルさんは恭也さんの提案を首を左右に振ることで拒否した。

「申し訳ありません。蔵元様を連れてくるのはお嬢様の絶対命令ですので」

「忍の?」

 怪訝な顔をする恭也さん。確かに状況を理解していなければ、意味の分からないことだろう。しかも、体調が悪くても無理矢理連れて行くみたいなことを言っている以上は、よっぽどのことだと思うのが普通だ。しかし、これが忍さんからの命令ということは、やっぱりあの人も吸血鬼だったんだな、と改めて確信できた。

「ノエル、どういうことなんだ?」

「申し訳ありません。私はこの件に関して話すことを禁じられていますので」

 後は、忍様に聞いてください、と暗にノエルさんは語っていた。ノエルさんはある種メイドの鏡みたいな人だ。その人が、話すことを禁じられている以上、この件に話すことはないと考えられる。恭也さんも何を言っても無駄だと分かったのか、考え込むような表情をしていた。きっと、忍さんが僕にここまでする用事を探っているのだろう。だが、想像がつくはずもない。

「恭也さん、ありがとうございます。僕は大丈夫ですから」

 ある種、これは僕とすずかちゃん、ひいては僕と月村家の問題ではある。いや、問題にしなければならないだろう。彼女たちが僕が知っているように今まで恭也さんにも秘密にしてきた問題なのだから。忍さんが恭也さんに話していないのはきっと理由があるのだから。

「さあ、ノエルさん、行きま
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