第八話
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庫や、弾丸が貫通しボロボロになったテントや建物。そして……気絶や負傷をした兵士達。すべてが革命軍の大敗を物語っていた。
そんな中、この状況を興味深そうに見つめる男が一人いた。
「……無様だな」
男は呆れたようにはそう呟いた。
「……基地の責任者を呼べ」
「はっ!クルト大尉……私ですが……」
「状況を述べろ。できるだけ簡潔にな」
「はっ!」
男はクルトに言われた通り、侵入された経路やされによって生じた損害。あと、疑わしきことすべてを洗いざらいしゃべっていった。
「……なるほど。わかった」
「い……いかがいたしますか……」
「月の兎を始末できなかったのは我々にも責任はある。これは本部の人間でも対処はできなかっただろうな。もういいさがれ」
「はっ!」
男は敬礼するとクルトに背をむけて安堵の表情をしていた。
(自分への対処だけを気にするとは……こんなやつが責任者なんぞつとまるわけがないだろうに。しかし、気になるのは……)
クルトは聞き出した情報を整理すると、何かを見透かしたのか溜息をついて兵士に命令を出した。
「捕虜施設の看守を呼んで来い」
「はっ!」
兵士は素早く敬礼すると、駆け足でどこかに向かい始めた。
数分後、兵士は言われた通り捕虜施設の看守を連れて戻ってきた。
「お前が看守か。名は?」
「鍵山悠斗伍長です」
「単刀直入に聞かせてもらおう……」
そう言ってクルトは一呼吸置いて率直な意見を口にした。
「貴様……やつらに手をかしたのではないか?」
「なにを……おっしゃってるんですか?」
悠斗は身構えていたからか、あまり動揺したそぶりは見せていなかった。だが、クルトはそんな彼がすっと後ろにまわした右手を見逃してはいなかった。
「どうやら捕虜施設の牢屋には傷一つついていなかったらしい。我々は命を惜しんでも戦うように命令をしていたはずだが?」
「……申し訳ありません。いきなり背後をつかれ……戦うすべもなく……」
「そうか……それならいいが……」
クルトは悠斗を見ながらそう言うと、何かを凝視するかの様に目を細めた。
「クルト大尉!ご報告があります!」
「この男がやつらと会話し……挙句の果てには隠していた捕虜を逃がした……といったところか?」
クルトは目をつむりながらそう言った。
悠斗の表情が一気にくもる。隠していた右手ももはや意味がない。悠斗は早まる鼓動から自分がおびえていることを身にしみて感じていた。
「おっしゃるとおりです……」
「……」
冷や汗が全身から
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