フェアリィ・ダンス編
第57話 =現実で待っていたもの=
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かりの敬語は使わないといけないので意識してやってみると見抜かれているのか小さく笑っていた。彰三さんはそのままアスナの枕元に来てその頭をそっと撫でる。しばし沈黙していたが顔を上げて背後にいるもう1人の男を俺と和人に示した。
「彼とは初めてだな。うちの研究所で主任をしている須郷君だ」
…須郷?確かあのアインクラッドの崩壊を見たとき別れ際茅場が言っていた名前と一緒だ。結構珍しい苗字なので多分この人なのだろうが気をつけろとは一体彼のどこを気をつければいいのだろう。それくらいに人のよさそうな男性だった。
「よろしく、須郷伸之です。――そうか、君たちが英雄キリト君とその騎士リクヤ君か!」
「…桐ヶ谷和人です」
「雄護陸也です、よろしく」
須郷さんの手を握りながらちらりと彰三さんを見ると顎を撫でながら軽く首を縮めていた。
…話したな、小父さん…。SAO内のことは口外禁止のはずだったと思ったけど…。どうやらあまりにドラマチックな話だったのでつい、というらしい。キリトが英雄というのはわかるけど俺が騎士、というのはどういうことだろう。さすがにあのときの称号は2人とも知らないはずだだし…茅場からあの時言われたのは「勇者の剣」だし……と、謎は深まるばかりだ。
「彼は、私の腹心の息子でね。昔から家族同然の付き合いなんだ」
「ああ…社長、その事なんですが――」
俺から手を離した須郷さんは上司である彰三さんに向き直った。
「来月にでも、正式にお話を決めさせていただきたいと思います」
「――そうか。しかし、君はいいのかね?まだ若いんだ、新しい人生だって……」
「僕の心は昔から決まっています。明日奈さんが、今の美しい姿でいる間に……ドレスを着せてあげたいのです」
「…ング!?……!!」
…喉が渇いたからってすぐにアク○リ○ス飲むんじゃなかった…。須郷さんのまさかの発言にその清涼飲料水が変なところに入って人の病室で思いっきり咳き込んでしまった。「ずびばぜん…」と謝罪しておきながら息を整える。
「…そうだな。そろそろ覚悟を決める時期かもしれないな……」
なんでアスナにドレスなんか…と思いながらもどんどん話が進んでいくせいでもうついていけなくなり俺と和人が両方沈黙しているとその父親はこちらを見た。
「そろそろ悠香のところにも行かなければな……では、私は失礼させてもらうとするよ。桐ヶ谷君、陸也君、また会おう」
そう言い残し大柄な体を翻してドアへと向かう彰三氏。すぐさま扉の閉まる音がしたのであの人はユカのところにいったんだろう。こうしてこの部屋には眠ったままのアスナ、その見舞いに来た和人、俺。そして彰三さんの部下の須郷さんが残された。
完全にいなくなったのを確認したのか須郷さんはゆっくりと先
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