フェアリィ・ダンス編
第57話 =現実で待っていたもの=
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の戦友にも顔見せておくか…と思い、俺も部屋を出ることにした。
「……じゃ…また今度」
その声も誰もいない部屋のように音が吸い込まれていった。それを気にすることも無く突き当りの部屋へと向かった。ユカと同じように銀のネームプレートには《結城明日奈 様》とある下にカードをスライドさせ、扉を開く。やはり同じつくりの部屋でカーテンによってそのベッドは隠されている。それをめくるとユカと同じ栗色の髪をした少女が。そしてその傍らにはその伴侶である少年がいた。
「キリ……じゃなかった。和人も来てたのか」
「…リクヤか…」
やはり元気がない。…自分の大事な人がこんな状況なのに自分が何も出来ないのを歯がゆく思っているのか…。俺もそんな状態の和人と同じような気持ちを持っているけどの彼のは俺のと比較にならないくらい大きなものだろう。
「……そろそろ帰るよ、アスナ。またすぐ来るから…」
その声に時計を見ると当然というべきかすでに正午をさしており、ピーピーと控えめにアラーム音が鳴っていた。そのアラーム音を止めに和人とは反対側に行き、ベッドの近くにある画面にタッチする。と、それと同時にこの病室の扉が開く音がした。誰かと思い覗いてみると入ってきたのは2人の男性だった。
「おぉ…来ていたのか桐ヶ谷君。たびたび済まんね」
その声は恰幅のいい初老の男性のものだった。いかにも高級品なスーツを完璧に着こなしており体格のわりに引き締まったその顔はいかにもやり手といった精力に満ち溢れている。
「こんにちは…お邪魔してます、結城さん」
「いやいや、いつでも来てもらっても構わんよ。この子も喜ぶ……おぉ…陸也君も来てたのか…」
その人物はユカとアスナの父である結城彰三さんだ。
「久しぶり、小父さん」
「…お前、小父さんって…」
「構わないよ、桐ヶ谷君…陸也君にはこう呼ばれないと違和感があるのでな」
仮にも《レクト》という総合電子機器メーカーのCEOに失礼だろ、という意味合いなのかキリトが小声で俺に話しかけてくるがそれをフォローするかのように彰三さんは顔をほころばせたまま言った。小さい頃は家が近所だったこともあってか家族ぐるみの付き合いだったのでよくこの人とは会っていた。最近は俺の家が祖母の家がある愛知に引っ越して会う機会も滅多に減り、さらに追い討ちをかけるようにSAO事件に巻き込まれたので相当な時間会っていなかった。でも逆にそのおかげで今みたいに会う機会が出来たのだが…。ちなみに彰三さんを「小父さん」と言ったのは数年ぶりだ。
「ご家族はまだ元気かね」
「えぇ。まだピンピンしてますよ。自分たちのこと優先すればいいのにこっちの心配ばっかで…」
でもさすがに俺も大人マイナス2歳、さすがに目上の人には少しば
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