フェアリィ・ダンス編
第57話 =現実で待っていたもの=
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=2025年1月19日=
「…せぃ!」
俺の掛け声とともにパコンという音が鳴り響く。
「…えぃっ!!」
さらにもう一人の掛け声でさらにパコンと鳴り響く。
「よっと!」
また音が鳴った瞬間、俺は前へと走り出しパコンパコンなっていた正体―テニスボール―をボレーで相手のコートに入れゲームを終了させる。俺こと、リクヤ…いや雄護陸也はテニスの真っ最中だった。
その相手は俺がまだ高校に在学中、同じテニス部でマネージャーの寺田美菜実という人物だ。
…俺がなんでこんなテニスして楽しんでるのかというと…大事なところをほとんど省いて言うとSAOをクリアしたからだ。詳しくは俺もよく知らないのでいうことは出来ないが、茅場とのあの最後、光に包まれた後俺が目覚めたのはとある病院のある部屋だった。何故、あそこで死んだ俺までログアウトが可能だったかはよく判らないが…とにかく無事に現実世界に帰ってくることは出来た。そこをナースに発見され数時間後には家族や同じ部活だった仲間がぞろぞろとやってきたものだ。その完全に心配してきてくれた人たちが帰った後すぐに医者…ではなく公務員らしき人間が来ていろいろ聞かれた。
代わりに情報を提供する対価として向こうで知り合ったキリトやアスナ、クライン、エギルにギルドの仲間であるサチ、シリカ、リズ、ユカの情報をもらった。そこで驚かされたのは今上げた名前の中でアスナ、ユカの姉妹がまだ目覚めていない…という情報だった。
その情報をくれた…菊岡とかいう人は「茅場晶彦の目的はまだ終わってはいないのだろう」やらうんぬん言っていたがどうなんだろうな…。仮に終わってなかったとしてもうそつく人間には見えなかったし…。
ともかく俺は無事ログアウト、そこから必死でリハビリをして今に至る、というわけだ。
「よぅし!今回も俺の勝ちだな」
「また負けちゃった…そんな重いラケットでよく動き回れるね」
「……向こうじゃこれ以上の重さだったからな…」
「何か言った?」
その美菜実の問いに「なんでもない」と苦笑交じりで言って審判席の下においてあるタオルを取りにいく。
美菜実が言ったとおり俺のラケットは通常に比べて数倍は重い。その理由はここの高校のテニス部が訓練だかなんだかで特注でこのラケットを頼んだらしいのだが重すぎて振ることは可能でも使うことは出来ず長い間部室で眠っていたらしい。
俺が筋トレの相談を当時の部長に伝えると「筋トレ用だ」と言いこのラケットを持ってきた。
最初はもちろん俺でも持てなかったが重いものということで愛剣たちを思い出し何が何でも使いこなしてやるという思いでリハビリ兼筋トレで振り続けた結果、今年の正月の明けた頃、やっと普通のラケットのように使えるようになったのだ。そのせいで普通のラケッ
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