第60話 今日も平和な洛陽
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華琳が都を立ち一ヶ月が過ぎました。
揚羽の報告によると皇甫嵩によって黄巾賊の武将波才が討ち取られました。
この戦闘で華琳も活躍したそうです。
彼女のことが本当に羨ましいです。
何が悲しくて私は洛陽に篭っていないといけないのでしょう。
私は快晴の空を眺めました。
「良い天気だな」
書類仕事に追われる私は久しぶりに麗羽と剣術の稽古をしています。
この場には猪々子と斗詩はもちろんのこと、美羽と七乃もいます。
鈴々は豚と一緒にどこかに遊びに行っています。
残りの者達は仕事です。
多忙な私に揚羽が気をきかせてくれました。
「兄様、妾もするのじゃ」
美羽は木剣をブンブンと回しています。
今日の美羽は動き易いそうな胡服のような服装をしています。
「お嬢様―――! 頑張ってください―――!」
七乃は美羽のことを応援しています。
「美羽は剣術はしたことがあるのかい?」
隙だらけなので剣術の嗜みはないと思いつつ敢えて聞きました。
「全然―――、無いのじゃ。兄様、教えてたも!妾も兄様のように悪人を成敗したいのじゃ」
美羽は満面の笑みで私に応えました。
端で涎を垂らしながら美羽を見ている七乃はスルーしました。
美羽が私に憧れ武芸に興味を持ってくれるとは素直に嬉しいです。
「なら、美羽は強くならないとな。まずは型をしっかりとやろうか」
「型?兄様、型とは何なのじゃ?」
美羽が不思議そうな顔をして首を斜めに傾けています。
「言葉より実践の方が早い」
私は美羽の背後に周り、彼女に手取り足取り剣術の基本を教えました。
それから美羽にマンツーマンで一刻ほど剣術の稽古をつけました。
「兄様、疲れたのじゃ」
美羽は息を切らしながら言いました。
「今日はこの位でいいだろ。初めにしてはよく頑張ったな」
私は美羽の頭をナデナデと撫でてあげました。
「美羽さん、だらしないですわね」
麗羽は美羽の顔を水で濡らした布で拭いてあげていました。
「冷たくて気持ちいいのじゃ。麗羽姉様、ありがとなのじゃ」
「どういたしまして」
麗羽は笑顔で美羽に言いました。
二人を見ているとほのぼのした気分になります。
洛陽の外では黄巾賊の討伐によって国土が荒れているというのに・・・・・・。
今の私は幸せですね。
「さて、麗羽。次は麗羽の番だな」
「正宗様、よろしくお願いしますわ」
私と麗羽は美羽の近くから離れ、立ち会いをしました。
私達の獲物は刃を潰した稽古用の鉄剣です。
彼女は本当に成長したと思います。
旅で実戦を経験したことで一皮けたように思います。
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