無印編
第十六話 裏 (なのは、フェイト、忍)
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魔法は使えないはずだ。だから、フェイトは一つ一つ、白い少女の魔法を壊すことに専念した。
四つの内、最後の一つを切り裂き、改めて白い少女から距離を取ろうとした瞬間、衝撃は上から来た。
「ぐっ!」
右肩に打ち込まれる容赦のない一撃。フェイトの移動力確保のため薄いとはいえ、生半可な衝撃は通さないはずのバリアジャケットを抜いての重い一撃。
衝撃で、仰向けになりながら墜ちるフェイトの目に入ったのは、八つの桃色の射撃魔法を身体の周辺に身に纏う白い少女の姿だった。
このままでは、直撃してしまうと思ったフェイトはバルディッシュでなぎ払おうと右手を動かそうとしたが、先ほどの一撃による痛みで右腕を動かすことができず、仕方なく左手で防御魔法を展開するものの、フェイトはおそらく防御魔法が打ち破られることを理解していた。
しかしながら、直撃よりマシである。たとえ喰らったとしても立っていればいい。フェイトにとって、この一戦は決して負けられないのだから。
―――そう、私は負けない。負けられない。母さんのためにもっ!!
フェイトの予想通り、防御魔法は四つの射撃魔法を耐え抜いたところでガラスのようにひび割れ、霧散した。直後、目に飛び込んでくる四つの射撃魔法。対抗する手段は一つもなく、歯を食いしばって耐えるしか方法はなかった。
「かはっ!」
二発は、腹部、一発は先ほど一撃を受けた右肩、一発は顔面に命中していた。だが、それで意識を失うことはなかった。フェイトの負けられないという精神力の勝利だ。今のフェイトの状況は、右肩が動かず、満身創痍と言っていいかもしれないが、心は折れていなかった。フェイトには決して負けてはいけない理由があるのだから。
だが、空中で姿勢を立て直したフェイトが目にしたのは――――
「ディバイン――――」
まるで、最後に残った心さえも折るかのような圧倒的な桃色の光とその向こう側で勝利を確信してフェイトを嗤う少女の笑みだった。
「バスタァァァァァァァっ!!」
圧倒的な桃色の光の奔流に巻き込まれたフェイトは、抵抗という最後の心さえ折られて、その濁流の中で意識を落とした。
◇ ◇ ◇
高町なのはは、墜ちた黒い少女を警戒しながらも軽い高揚感に包まれていた。
―――2万と746。
その数字は高町なのはが、レイジングハートによるシミュレーションでクリアした訓練の数だ。無数のパターン数とレベルを組み合わせることでそれだけの数字が用意できた。訓練のためになのはは翔太と一緒にいる時間以外のすべてを費やした。授業を受けながら、夕飯を食べながら、お風呂の入りながら。時に魔力ギプスとも併用することで、確かにそれはなのはの糧となっていた。
普通の
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