無印編
第十六話 裏 (なのは、フェイト、忍)
[4/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
で威力をそがれた雷を受けて、いつっ、という痛みを堪えるような表情を見て、声を聞いた瞬間、なのはは一気に頭に血が上った。
―――ショウくんが痛がってる? 傷つけた? 誰が? 誰が?
考えるまでもない。なのはの障害となるかもしれない魔導師以外には考えられない。
この瞬間、なのはの頭の中に障害となるであろう魔導師を許すという選択肢は、塵芥と化した。代わりに件の魔導師に対して絶対に許せない、という怒りが沸々と湧き出してくる。
もしも件の魔導師にであったならば、少し痛めつけた後に、もうジュエルシードに関わらないと言わせ、そこまでにしておこうと思っていたが、翔太を傷つけた以上、『少し』という形容詞は綺麗さっぱりなくなってしまった。
本当なら、すぐにでも件の魔導師を探したいのだが、今はそれよりも翔太の足元にあるジュエルシードが先決だった。翔太の足元にあるジュエルシードは、今までのものとは比べ物にならないほどに魔力を放出しているのだから。
「ショウくんっ!!」
「なのはちゃんっ! これっ!」
入り口で止めていた足を再び動かして、駆け込むと翔太がハンカチで包んだジュエルシードを投げてくるのが見えた。それだけでなのはは翔太が何を求めているのか理解した。当然のように「リリカルまじかる」とジュエルシードを封印して、レイジングハートの宝石部分にジュエルシードを収めた。
「ほっ、間に合った。ナイスタイミング、なのはちゃん」
先ほどの痛がっていた表情とは一変して、安堵した表情になっていた。それだけでなのはは安心する。翔太があまり痛がっていないことが分かったから。もっとも、件の魔導師に対する処遇は変わらないが。
「しかし、やっぱりすごいね。あんなの簡単に封印しちゃうんだから」
感心したように話す翔太。たったこれだけで、なのはの心は先ほどまで怒りで血が上っていたことも忘れて、有頂天になる。先ほどまでの暗く沈んだ感情はすっかり消えてしまい、魔法を使わずとも空を飛べそうなぐらいになのはの心は軽くなっていた。
「そ、そうかな?」
だが、それ以上に憧れていた翔太に褒められることで照れてしまうなのはだった。
◇ ◇ ◇
高町なのはは、逃げていた。
追ってくる相手は、件の魔導師と記するべきなのはと年の変わらないであろう少女だ。黒い服に金髪を靡かせて自分の跡を追ってくるのを確認しながら、なのはは逃げていた。
あの場では、この手が一番だと思った。翔太の近くで戦うことは可能だった。だが、可能なだけだ。万が一にでも流れ弾が、翔太にいかないとも限らない。翔太を傷つけることはなのはが一番望むべくことではない。だから、空を飛んで逃げた。幸いにして彼女の目的は、ジュエルシードの
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ