無印編
第十六話 裏 (なのは、フェイト、忍)
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が目にしたのは、大型犬ほどの大きさだったはずの影が成人女性ぐらいになり、黒い少女を抱えて飛び立つ姿だった。
一瞬、追おうかとも思ったが、すでに姿は見えなくなっており、今から追っても追いつくことは不可能と判断した。
「ふぅ」
疲れたようなため息を吐く。だが、心の中は満足感であふれていた。
自分の居場所を奪うかもしれない魔導師に勝つことができた。叩き伏せることができた。彼女が持っていたジュエルシードも手に入れることができた。逃がしたのは拙かったかもしれないが、もう一度立ち向かってくるというのなら、もう一度叩き伏せるだけである。
「さあ、ショウくんのところにか〜えろっと」
ジュエルシードを手に入れたことで褒めてくれる翔太の想像をしながら、なのは上機嫌で戦場跡から踵を返すのだった。
◇ ◇ ◇
月村忍は頭を抱えていた。
「はぁ〜、本当、どうしたものかしら?」
翔太が怪しいと睨んで早一週間近くが経とうとしている。だが、彼を念入りに調べても彼が裏の事件に関わっている証拠は見つけられなかった。彼の周囲にしてもそうだ。父親も母親も祖父も祖母も、家系を調べたが全員が一般人。平々凡々の中流家庭だった。真っ白も真っ白もいいところだった。
だが、そうでいながら、最近の翔太の行動はその白を灰色にしてしまう。
翔太を疑う契機となった宝石に関してすずかをもう少し問いただしてみると、翔太はなのはの手伝いをしているとすずかたちに説明しているらしい。だが、翔太が裏に関わる家系ではない以上、一般人であるはずの翔太を巻き込むことはありえない。なのはが翔太を手伝うことはあっても、翔太がなのはを手伝うことはない。正確には手伝えることはない。だから、忍はこの件に関しては翔太が嘘をついていると判断した。
だが、翔太の家と高町家については何も繋がりがなかった。昔の『御神』と『不破』についても同様だ。これで、もしも探しているのがこの蒼い宝石でなければ、恭也が関わっていることも子どもの面倒を見ている兄として片付けられたのだが。この宝石を捜しているのならば、恭也も裏の人間としての護衛と見るほうが自然だろう。
そして、翔太が探しているらしいこの宝石。忍のほうで調べてみたが、科学的に見るとただの石だ。もっとも素晴らしい加工技術で現存の加工技術では、ここまで綺麗に宝石を加工することは不可能だが。調べる方向を変えて、この街に住む退魔士に見てもらったところ、やはり大きな力を宿していることが分かった。ただし、霊力でもなければ妖力でもないという奇怪な回答だったが。安心できることに、この宝石は安定しており、簡単に暴走することはないようだ。怖いもの見たさから、暴走した場合を聞いてみたが、軽く街が根こそぎな
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