無印編
第十六話 裏 (なのは、フェイト、忍)
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ある恭也に答えたときは、半ば冗談だったが、どうやら嘘から出た実になってしまったようだ。
家族会議で改めて、桃子が今日のことを話したときの兄の恭也と父の士郎は頭を抱えていたのが印象的だ。まだ小学生で、ただの予想でしかないのに、もしも中学生ぐらいになって彼氏の一人もできてしまったときはどうなるのだろうか。
しかし、そこまで考えて思う。
―――あれ? 私って小学生に負けてる?
よくよく考えれば、美由希はなのはのような甘酸っぱい記憶はない。幼い頃からずっと剣に、剣と共に生きてきた。それ以外の道を知らないというほどに。美由希が通う風芽丘学園が共学の学園だが、異性との出会いもない。一番気になる異性が兄である恭也という時点で女としてどうなのだろうか、と疑問に思ってしまう。
もっとも、実際には恭也とは血のつながりはなく、正確には従姉妹という繋がりなので、恭也との間に恋心が芽生えたところでまったく問題はないのだが。しかし、この気持ちは兄を慕う気持ちとも言えるし、剣の師匠としての気持ちとも言えるし、異性としての気持ちもある。まるでサラダボールのようによく分からないのだ。
恭也に恋人ができれば、また違った感情が浮かんでくるのかもしれないが。もっとも、恭也は恭也で異性との付き合いは殆どないようだから、この気持ちを確認するのもまだまだ先になりそうだ、と美由希は洋服を翔太に見せるなのはを見ながら思った。
◇ ◇ ◇
高町なのはは、ここ数日上機嫌だった。
連休中は、可愛い洋服を母親から買ってもらい、翔太にも「可愛いね」と褒めてもらった。
そこから先日の休日のように名前を忘れてしまった金髪の少女の邪魔が入ることもなく、平日の放課後もずっと一緒にいられる。まさしく、なのはが望む日常だった。
―――ずっと、今が続けばいいのに。
もちろん、それは無理なのは分かっている。月日は流れるもので凍結できるものではない。だが、『今』を保つための手段はすでに確保している。今しばらくは、きっとこれが日常であるとなのはは確信していた。
さて、今日は久しぶりにジュエルシードの反応をユーノが見つけたため、日が暮れてもジュエルシードを捜索中だ。本当なら、翔太と一緒に探したいところだったが、日が暮れてしまったため、一刻も早く見つけ出すため今は三手に分かれている。一緒にいられる恭也を羨ましく思ったものの、チーム分けをしたのは翔太なのだから、なのはに異議を出すという選択肢はなかった。
ならば、少しでも早くジュエルシードを探して翔太と一緒にいる時間を長くするべきだと思い、なのはは現在、夜の海鳴の街の中心街を奔走していた。翔太の推測が確かなら、表通りにはジュエルシードは落ちていない。だから、なのははビルとビ
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