無印編
第十六話
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に遠距離の攻撃ができれば、恭也さんもやばかったのだろうが、どうやら獣耳の女性は遠距離攻撃ができないらしい。
確かに魔法は使っていたが、それもプロテクションやチェーンバインドのようなものだ。ただし、魔法を使うときは、それなりの隙が生じるため、魔法は避けられた上に手痛い一撃を貰っていた。一瞬で、一体どれだけの斬撃が走ったのか、素人の僕にはまったく分からなかった。ただ、軽く吹き飛んだところを見ると威力は推して知るべきである。もっとも、そんな一撃を貰って平然と起き上がる獣耳の女性にも驚きだが。
だが、その戦いの決着は不意に訪れた。
「フェイトっ!?」
戦いの最中、突然、あらぬ方向を向いて誰かの名前を叫ぶ獣耳の女性。そして、その隙を恭也さんが逃すはずもない。今まであけていた距離を一気に詰め、気を抜いた獣耳の女性に何らかの技を決める。獣耳の女性は、ぐふっ、といったような腹から空気を無理矢理出されたような声を出して、少し離れたところまで吹き飛ぶ。
今まですぐに起き上がったのだが、今回は明らかに大きな隙だったため、恭也さんも威力の大きな技を打ち込めたのだろう。今までよりゆっくりと起き上がってきた。ただ、それでも怪我をした様子はない。
そして、僕たちをきっ、と睨みつけて、どこか悔しそうに顔をゆがめ、たんっ、と地面を蹴るとそのまま空へと飛び立った。
「待てっ!」
恭也さんが叫ぶが、時既に遅し。空を飛ぶ女性に追いつけるはずもなく、恭也さんは渋々といった様子で諦め、小太刀を鞘に納めた。
「どうしたんでしょうかね?」
「さあな。それよりも、なのはを追おう」
僕も恭也さんも彼女が飛び立った理由は分からなかったが、それよりも確かになのはちゃんが気になった。あれからかなり時間が経っている。なのはちゃんは無事だろうか。もしも、恭也さんのように戦ったのだとすると、怪我をしていなければいいのだが。
幸いなことに僕の心配は杞憂に終わった。少し、なのはちゃんが飛び立った方向に向かって走っていると、上空に見慣れた聖祥大付属小の制服を着たなのはちゃんを見つけたからだ。なのはちゃんも僕たちを見つけたのだろう。すぐに方向を変えて僕たちの目の前に降り立った。
見たところなのはちゃんに目立った外傷はないようだ。ただ、聖祥大付属小の制服のようなバリアジャケットがところどころ黒く煤けていたが、それだけだった。
「大丈夫っ!? なのはちゃんっ!!」
見た目は何もなくても怪我はしているかもしれない。そう思って、声を掛けたが、なのはちゃんは元気そのもので、いつも見せる嬉しそうな笑顔を見せてくれた。それを見て、ほっと安堵の息を吐ける。それは恭也さんも同じようだった。
「それで、あの少女は?」
「あの子?
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