無印編
第十六話
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彼女の答えで、これ以上、話すことはないといわんばかりに金髪の少女は陸橋から飛び立つ。鎌のように形を変えた戦斧を右手に、月をバックに降り立つ少女は、まるで死神のようで。その少女の目的は間違いなくジュエルシードを持っているであろうなのはちゃんだった。
「なのはちゃんっ!」
僕から少し離れた場所に立つなのはちゃんを心配して声を上げる。恭也さんも少女の目的が分かって、少女となのはちゃんの間に割って入る。
すでに恭也さんは小太刀を抜いていた。街灯の光を反射して鈍く光る小太刀。恭也さんが持つのは真剣だ。こちらの銃刀法は前世の僕がいた世界とは若干異なり、免許があれば、携帯も可能らしい。魔導師が敵かもしれないと分かって以来、恭也さんは木刀も携帯することを考えたが、ユーノくんの助言でそれはなくなった。魔導師は普通、なのはちゃんの聖祥大付属小の制服のようなバリアジャケットを身に纏うのだが、それは通常ある程度以上の衝撃をカットしてくれるらしい。それは、もちろん斬撃もだ。だから、傷つける心配をせずに小太刀を振るえるようだ。
しかし、黒い少女の武器は魔力でできた刃の鎌だ。果たして魔力と物質が打ち合えるのだろうか。
だが、その心配は杞憂だった。
―――protection
静かになのはちゃんが持つ宝石が描く文字。それは、僕が唯一覚えている魔法と同種の魔法だ。ただし、硬度はまったく異なる。なのはちゃんから放たれた防御魔法は、近くで守る恭也さんと一緒になのはちゃんと黒い少女の間に鉄壁を作り、黒い少女の一撃を受けた。
反発し合うなのはちゃんの魔力と少女の魔力。結局、黒い少女の一撃がなのはちゃんの防御を破ることはできず、無理と判断したのか、黒い少女はいったん後ろに下がり、道路に着地する。
睨み合うなのはちゃんと黒い少女。
恭也さんはすっかり蚊帳の外だった。仕方ない。そもそも、武器が打ち合えるかどうかすら謎なのだから。
緊迫しあう空気。そこに不意に肩に重みを感じた。ある意味、慣れた重みは間違えようがない。ユーノくんだ。
「ユーノくん、これは一体どういうこと?」
「ごめん、あのまま結界の外に出していたら周りへの被害がどうなるか分からなかったから彼女たちも取り込んだんだ」
「それなら、それで教えて欲しかったよ」
そもそも襲ってくること事態が予想外であり、急な出来事に対処したユーノくんこそ褒めるべきかと思ったが、せめて教えてくれればいいんじゃないかと思った。だが、ユーノくんもそれは気にしていたらしい。顔を下げて謝罪の言葉を口にする。
「ごめん。でも、こっちも大変だったんだ。―――って、あれ? ここにいるのは彼女だけ?」
「??? そうだけど―――」
ユーノくんの怪訝そうな
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