第2章 真の貴族
第14話 模擬戦
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仕方がない事だと思います。
……って、俺が知っている事を、このイケメンくんが知らないとは思えないのですが。
それに、表面上は無関心を装ってはいますが、少し……いや、かなりタバサ自身が緊張しているのが判ります。
つまりこれは、このイケメンくんが、タバサに緊張させるだけの何かを持っていると言う事。
「成るほど。風のトライアングルだと言う話だったのですが、矢張り、所詮は、本名すら明かす事の出来ない人物だったと言う訳ですか。
おそらく、貴族とも思えないような家の出身だと言う事なのでしょうね」
イケメンくんが少し揶揄するような口調でそう続けた。
もっとも、これぐらいの挑発は仕方がない事。
それに、少々の挑発は無視出来るようにならなかったら、アッチコッチで決闘騒ぎを起こす事に成りますから、この程度の挑発に対しては知らぬ顔の半兵衛を決め込むに限りますし。
その俺の思考をトレースするが如く、そのイケメン青年の言葉を、右から左に聞き流すタバサ。
「例えば、敵に背中を見せて逃げようとして無様に殺される、父親の娘とかね」
しかし、イケメンくんのこの一言が、タバサの雰囲気を一変させる。
これは、少々、危険な雰囲気。普段のタバサの雰囲気とは明らかに違います。
それに、もしかすると、彼の台詞は、本当にタバサの父親の暗殺されたシーンを表している可能性も有りますか。
「失礼。貴方は、どちら様でしょうか?」
思わず、ふたりの話しに割り込みを掛けて仕舞う俺。流石に、これは介入すべき事柄だと思いましたから。
しかし、同時にこれは下策でも有ると思いますが。
何故ならば、このイケメンくんは、どう有っても、タバサをその魔法実技の指南とやらに引き出したいらしいですから。そこに、俺が間に入ったぐらいでは、引き下がる心算はないでしょう。
先ほどの台詞が、当てずっぽうなどではなく、事実を告げた物ならば、間違いなくその心算のはずですからね。
「私の名前はジョルジュ。サヴォワ伯の長子です」
……って、名前を名乗られても、俺にはさっぱり判らないのですが。
しかし、ジョルジュと言う名前は、俺に対しては非常にマズイ名前でも有ります。
ジョルジュ。ラテン語読みだと、おそらくはゲオルギウス。竜殺しの聖ゲオルギウスではないですかね、彼の名前は。
いきなり、死亡フラグに直結するような名前の御方が登場して仕舞いましたよ。
しかし、とある十字教が存在しない世界で有る以上、これは偶然の可能性が高いですし、彼は魔法使いであって、槍使いではないと思いますから、問題はないとは思うのですが……。
【なぁ、タバサ。このイケメンくんは、もしかして、ガリアの関係者なのか?】
一応、【念話】に
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