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蒼き夢の果てに
第2章 真の貴族
第14話 模擬戦
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に、コルベール先生の前でも仙術を使用しましたから、そう言う風に先生に告げられていたとしても不思議では有りませんか。
 しかし、表面上は身分差などない世界からやって来た俺に取っては、そんな事はどうでも良い……と言うか、むしろウザイだけの事。

 まして、毛色が違う。能力が違う。出自が違うと言う事でエリミネートされるのは、俺としては、かなり哀しい事ですから。
 現実に異世界人で、能力や言葉、肌の色が違って、そもそも、人に擬態した龍である俺からすると。

「いや、それは間違いやで。俺は、確かに魔法は使えるけど、一般人。つまり、シエスタと同じ平民や」

 自らが十六年間暮らして来た世界での事実を伝える俺。
 ……と言うか、現代日本に身分制度など存在していません。裏側は判りませんが。
 ちなみに、表向きは魔法も存在していない事になってはいたのですが……。
 それに、どうも名字を呼ばれるのは好きでは有りません。何となくですが、堅苦しく感じますから。

「そうなのですか。それでしたら、以後は、シノブさんと呼ばせて頂きますね」

 少しそばかすが目立つけど、それでも、十分、美少女と言っても良いシエスタが少し笑ってから、そう答えてくれる。
 う〜む。しかし、この世界に来てから、どうも美少女との遭遇率が高いな。まるで、アニメか漫画の世界みたいじゃないですかね。

 確かに、遺伝学的に言うと、より綺麗な存在が増えて行くのは正しい。

 何故ならば、より綺麗な者の方が遺伝子を残し易いから。
 一代でも綺麗は汚い。汚いは綺麗と言う、妙な性癖の人間が間に入って仕舞うと、次の世代に少し容姿的に劣る遺伝子の継承者が産まれて仕舞う事と成ります。
 何代か連続でそう言う代が続いて行き、より容姿的に劣る遺伝子しか持ちえない存在が続いた場合、その家系は、より遺伝子を残せる可能性が減る、と言う結果に成ります。

 つまり、人間が見た目的に綺麗な存在を求めるのは、自らの遺伝子を未来に繋ぐと言う意味では正しい行為と成る、と言う事ですな。

 ……と言う事は、キュルケが女王然として男子生徒に傅かれていたのは、より生物的に言うと正しい状態だったと言う事ですか。まして、時代に因って美醜の定義が変わっているのも事実ですから。

 ……やれやれ。色々と奥が深いな。

 昼食を一緒に取ろうと誘っただけの会話から、何故か思考だけが独り歩きを行い、歴史上の美女の代表の名前を順番に脳裏に思い浮かべかけた俺。……が、しかし、危うく当初の目的を思い出し、目の前で、少し不思議そうな瞳で俺を見つめていたシエスタにこう伝えた。

「まぁ、せやから、シエスタのお昼の休憩の時にもう一度、ここに来たら良いんや。
 その時まで、シエスタの分のカレーは確保して置くから」


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