第2章 真の貴族
第14話 模擬戦
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きにかなり驚きながらも、一歩ジョルジュの方向に右足を踏み込み、軍杖の間合いからヤツの右腕の間合いに侵入する俺。
そして、そのままヤツの右腕を取り、巻き込むようにして投げ技に移行する。
しかし!
そう、しかし。右腕を取られ、そのまま大地に叩きつけられるだけかに思えたジョルジュが、まるで体重の無い者で有るかのような体捌きを空中で行い、俺が極めていた戒めからあっさりと脱出して仕舞う。
……その身体全体に淡い燐光のようなモノを纏いながら。
精霊を纏い、剰え、活性化させている?
……って言うか、コイツがライン・クラスの魔法使いなら、対レンのクモ戦闘で、わざわざ俺が手出しする必要など無かったんじゃないですか。
少し、双方距離を取って、次の出方を伺うかのような空白。
ギャラリーの方からは何の声も上がらない。いや、おそらくは上げられない。
何故ならば、魔法戦闘の模擬戦だったはずなのですが、何故か白刃が煌めく肉弾戦と成っているのですから。
まして、戦闘速度が速すぎて、思考は未だしも、動体視力の方が追い付いていない可能性も有りますから。
再び、俺の間合いに踏み込んで来るジョルジュ。
真っ直ぐに付き出して来る軍杖を紙一重で左脇腹方向に躱し、そのまま刃を水平にしてやや下方から横薙ぎに払われた一刀を、今度は背中を地に着けて躱す俺。
……って言うか、これは防戦一方。
空を斬らせたはずの一刀が再び返す刀で上空から振り下ろされるのを仰向けに見上げた後、今度は素早く大地を転がるようにして躱す。
尚、その際、軽くジョルジュの足を払ってみたのですが、これは予想されていたのか、簡単に躱されて仕舞いましたが。
……やれやれ。ヤツの攻撃は、すべて繋げられていて、ひとつの攻撃を躱したぐらいでは隙は生まれないな。
そして、俺の剣は後の先。先に相手から攻撃させる事によって隙を作り、その先に動いたはずの相手よりも先に討ち貫く剣。
これは、どちらの方が最小限の動きで相手を捉えられるかが勝負と言う事ですか。
俺が、鞘から模造剣を抜き、正眼に構えた。
対して、ジョルジュはフェンシングの構えに似た姿で相対す。
その距離は、約十メートル弱。今までの状況から考えると、この距離はジョルジュの攻撃範囲内では有りません。ヤツが攻撃を為すには、この距離を詰める必要が有ります。
俺に取っては……。小細工を弄せる距離では有りますね。
それにしても、綺麗な構えをしますね。なんの気負いも、また余計な力みのようなモノも感じられない、すっと自然に立ったような非常に綺麗な構え。
それに、この構えのままでは、残念ながら双方とも付け入る隙は有りませんから。
これは、仕方がないですか。
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